〈抗議文〉観音寺市議会議員 岸上政憲様 韓国への侮蔑表現と、 日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳を冒涜したことに抗議します
観音寺市議会議員
岸上政憲様
韓国への侮蔑表現と、 日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳を冒涜したことに抗議します
岸上政憲市議のX投稿から観音寺市議会の対応経緯を、12月1日の朝日新聞デジタルで読み、大変な驚きと怒りを禁じえません。歴史事実を歪曲し日本軍「慰安婦」被害者を冒涜する表現を私たちは許すことができません。
以下、12.1朝日新聞デジタル報道によると、(一部抜粋)
https://www.asahi.com/articles/ASRCZ6TLPRCZPTLC
政憲市議(44)=自民新政会=が、自身のX(旧ツイッター)稿に関して「差別表現ではないか」と指摘があった。
投稿を確認したところ、日韓の歴史認識をめぐる第三者の書き込みに反論する形で団を認例を改正し、ヘイト行為の禁止条項を盛り込んだ観音寺市議会の対応であると感心した次第です。
しかしながら、あなたは、このヘイトスピーチと指摘された理由を理解していないのではないでしょうか。「ヘイトに当たる言葉なので、使用したことについては申し訳ない。
ただ、歴史認識を変えるつもりはない」にあるように、「ヘイトに当たる言葉」とはどの部分を指しているのでしょうか。韓国への「乞食」でしょうか。元日本軍「慰安婦」に対しての「売春婦という職業で、物凄い稼いでましたからね」でしょうか。
あなたが、自分が使った「乞食」と「売春婦」を「ヘイトに当たる言葉」だとはっきり認めているなら、それが「ヘイトに当たる言葉」である理由は、歴史事実とは全く違ったでっちあげの「歴史認識」であるからに他なりません。
したがって、このようなでっちあげは「歴史認識」と呼べるようなシロモノではなく、「歴史の捏造」です。汚言と罵詈讒謗で被害者を侮辱する「歴史の捏造」であるからこそ、「ヘイトに当たる」のです。よって、「ヘイトに当たる言葉なので、使用したことについては申し訳ない。ただ、歴史認識を変えるつもりはない」というあなたの説明は、全く支離滅裂であり、「ヘイトに当たる言葉」だとは本心では思ってもいないことが露呈しています。
私たちは、主権国家である韓国はもちろん、誰であろうと「乞食」と表現することは、侮蔑であり差別であり、全く許されることではないと考えます。
一方、元日本軍「慰安婦」被害者に対して「売春婦」と呼ぶことは、被害者の名誉と尊厳を傷つけるものであり、全くもって歴史事実に反し、怒りに堪えません。
あなたは、1993年8月4日に出された「河野談話」“慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 (mofa.go.jp)”(外務省HP)を読んだことがあるのでしょうか。日本軍「慰安婦」問題に対して、歴代内閣が閣議決定し継承している日本政府としての公式見解であります。
河野談話は、当時の宮澤喜一内閣によって調査が行われ、その調査結果として「河野内閣官房長官談話」として出されました。
談話には、「今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」 (一部抜粋)とあります。
つまり、 「本人の意思に反して集められた事例が数多く」、売春婦として自ら「慰安婦」になったのではありません。
さらには、 「本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」とあるように、 「多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題」であり、 「数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からのお詫びと反省の気持ち」を政府として文書で表しています。
また、多くの日本軍「慰安婦」被害者の皆さんはそれぞれ自らの被害体験を証言としてあらゆる機会を通じて述べております。その証言を一度でも聞いたことはありますか。直接聞いたことはなくても、映像や書物において目にしたことはないのでしょうか。先ずは、被害者の被害体験に接することが正しい歴史認識をもつことになるのではないでしょうか。
被害者の皆さんは、日本政府に対し、「被害事実を認めてほしい」「心からの謝罪を行ってほしい」と名乗り出てから30数年にわたって悲痛な声を挙げています。この被害者の声に耳を傾けることこそ求められているのです。「売春婦」と言葉を投げつけられ、心に傷を負った女性たちが、どれほど名誉と尊厳を踏みにじられてきたか、深く考えなければならないことなのです。
河野談話の最後にある、「歴史の教訓として」「このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」という言葉こそあなたは真摯に受け止め理解することが重要であります。それこそがヘイトスピーチの意味を正しく理解することに通じると言えます。このような下劣な発言を日本の政治家がいつまでも続けているから、日本はますます世界から取り残され、孤立し、韓国のみならず世界各国から信用されなくなってきているのです。
X投稿を削除したことであなたの 「歴史認識」が変わったわけではありません。それはあなた自身が「歴史認識を変えるつもりはないし、これからも議員としての意見は発信していく」と書いているヘイトに当たるこの考えこそ変えない限り、あなたは、「歴史の捏造に当たる」ヘイトスピーチを繰り返すでしょう。
先ず、日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳を傷つけたことを自覚し謝罪するとともに、歴史認識を改め、日本軍「慰安婦」問題に対し、正しい歴史認識を表明することを要請するものです。
2023年12月8日
日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク