この1210日は、1948年に国連総会で世界人権宣言(UDHR;Universal Declaration of Human Rights)が採択されてから75周年になります。

第二次世界大戦終戦後、世界は二度と「人類の良心に反する野蛮な行為」を起こしてはならないという自省から、人間の尊厳を守るための最小限の装置を設けました。 そして、世界中の国々が一堂に会し、すべての人が自由で平等で尊厳ある生活を送るために必要な普遍的な自由と権利を守ることを宣言しました。

性別や人種、肌の色、信念、宗教などの違いに関係なく、すべての人が持っており、誰も奪うことのできない30の権利と自由が明記されているこの世界人権宣言は、自由と平等に関する世界的な指針書であり、国際人権法の礎となりました。

 


「すべての人は自由、尊厳、平等である。」この単純なようで複雑で深遠な命題を達成するため、過去75年間、人類は絶えず連帯し、不当な権力に抵抗し、努力してきました。

 


しかし今日、絶望的なことに、私たちは人権と正義が後退し、人間の尊厳が否定されるのを常時目撃しています。ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ紛争などで多数の民間人が殺害され、世界随所で歴史に逆らう右翼政治家たちの退行的行動で惨憺たるものです。

 


女性たちを強制的に動員し、奴隷状態に従属させ、性的暴力と性的搾取を行い、残酷な方法で拷問し、非人間的に侮辱し、遺棄し、加害者たちは、反省せず、真実を否定し、被害者を侮辱しています。最も基本的な市民権である個人請求権を否定し、韓国の司法的判断を無視しています。人権を侵害し、真実を破壊する目的で活動しているヘイト勢力を煽り、支援し、正義に向かって進んだ勇敢な女性たちの歴史を記憶しようとする全世界の市民の平和碑建立活動を稚拙な方法で脅迫し、露骨に妨害してきました。 口では女性の人権と平和を語り、世界人権宣言の根本的な精神を揺さぶり、汚染し、否定することに奔走しています。

 



これに、積極的に対応して被害者の権利と自由を保護すべき韓国政府は、加害国に屈服して関係改善を懇願し、人権を取引の対象にしています。無能、無責任、無知と無視で一貫し、司法便宜主義を武器にして国民を脅迫し、統制するのに多忙です。マスコミ、労働、政治、経済、安全、福祉などあらゆる分野で民主主義と人権が退行し、韓半島の平和は風前の灯火です。被害者支援システムと国家人権委員会が根底から揺らぐ中、差別禁止法の制定は難航し、女性家族部は存在自体が問題視され、極右歴史否定勢力から日本軍「慰安婦」被害者の人権を守るための法改正案は上程すらされていません。

 


しかし、私たちはこの悲惨な現実にも屈することなく、意味のある成果を一つ一つ歴史に刻みながら前進してきました。ベトナム戦争当時、韓国軍が犯した民間人虐殺の被害者が韓国政府を相手に提起した訴訟に勝利し、米軍基地村の性搾取制度に問題提起し、国家を相手に損害賠償を請求した被害者たちも最高裁判決を通じて国家賠償責任を確定させました。 そして、ついに去る1123日、大韓民国高等裁判所は、日本国を相手に訴訟を提起した日本軍「慰安婦」被害者側の主張を受入れ、日本国の反人道的犯罪行為に対する損害賠償責任を認めました。

 


 6条; すべての人は、どこでも、法の前に人間として認められる権利を有する。


 7条; すべての人は法の前に平等であり、いかなる差別もなく、法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、いかなる差別の扇動に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。


 8条; すべての人は、憲法または法律が付与する基本権を侵害する行為に対して、担当国家裁判所の効果的な救済を受ける権利を有する。

 


私たちは世界人権宣言のこの6条と7条、8条が単なる象徴的な宣言にならないよう、絶え間なく闘争し、被害者たちの勝利を通じて国際慣習法の新しい流れを先導しています。私たちはこれからも、日帝強占期と独裁体制終焉のために先祖と先達たちが苦労して闘い、守り、回復してきた人権と民主主義の価値を守り、発展させていきます。 自分たちの権利と尊厳を守るために勇敢に立ち上がった被害生存者たちの叫びと行動を記憶し、自由と平等、真実と正義の原則のもと、日本軍性奴隷制問題の解決に向けて力強く進んでいくことを誓います。


 

2023126

正義記憶連帯 理事長 李娜栄(ナヨン)



(訳 権龍夫)