10月5日付『朝鮮日報』に「尹美香、慰安婦支援金横領してカルビ食べマッサージ受け…」という記事が出ると、日本でも『読売新聞』や『朝日新聞』がこれに追随しする記事を掲載しました。


しかし『朝鮮日報』の記事は、検察が裁判で主張した内容であって、裁判所が認定した事実ではありません。



同じ法廷で、尹美香議員側が反駁する証言と資料も出していること、しかし、検察側の文書だけが野党議員に渡され、それが『朝鮮日報』にそのまま流されて意図的にフレームアップされたことに対する検証もなく、日本のメディアまで韓国検察の主張をそのまま垂れ流す事態を憂慮します。


そもそも、このような記事が、この時期になぜ出されたのか、その背景について考察したチョン・ジユンさんの「違う世界に向けた連帯」サイトの記事を翻訳しました。(全国行動)




2021.10.09 チョン・ジユン



果てしなく悪辣に尹美香をいじめる『朝鮮日報』



 最近、立て続けに露見した「告発教唆疑惑」と「大庄洞(テジャンドン)疑惑」は、あたかもコインの裏表のように韓国社会の既得圏カルテルの構造と問題を象徴的に、そして縮小版のように表す事件だ。二つの事件から我々は「政治検察・族閥メディア・腐敗右派」が緊密に連携して、腐った談合を形成していることを確認できる。



 

訳注:「告発教唆疑惑」は国民の力党の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補に不利、「大庄洞(テジャンドン)疑惑」は共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補に不利と見られている。


 


「告発教唆疑惑」では、政治検察らが政治工作を設計し、それを国民の力党が請け負って告発し、族閥メディアがフエイクニュースを垂れ流して流れを作るメカニズムが窺われる。

「大庄洞疑惑」は、法曹記者らが不動産投機を設計し、前任判事・検事らを動員し、国民の力党の郭尚道(クァク・サンド)議員らが分け前を得て事後処理を受け持った状況が、表面化したものと思われる。



 にもかかわらず、秋夕の食卓に「大庄洞疑惑」を前面に出して「告発教唆疑惑」を覆い隠そうとした彼らのばかげた試みは、郭尚道の息子の50億ウオンが露見してはかない夢となり、今や彼らが数珠つなぎ状態でもっと大きな泥沼にはまっているように見える。本当に、自然と、このような疑問と解明を求める声が沸き上がるのは当然だった。 




 キム・マンベが法曹担当チーム長だった『マネートウデイ(MONEY TODAY)』社は主に不動産市況を実況中継しつつ、分譲広告のような記事を写し書きしてきたが、このようなメディアが存続できた理由は何だろうか。郭尚道の息子の50億ウオン、尹錫悦の父親の住宅売買などに続いて、火天大有社(資産管理会社)に「50億ウオン約束名簿」があるといわれているが、そこには他に誰が掲載されているのか? ユ・ドンギュは拘束されたが、キム・マンベと郭尚道は一体いつ拘束されるのか?




 今や、大庄洞だけではなく、呉世勲(オ・セフン、現ソウル市長、国民の力党)の不動産民間開発、朴亨埈(パク・ヒョンジュン、現プサン市長、国民の力党)のエルシティなど100%民間開発で行われた事業についても再調査する必要があるのではないか? 

 今後の不動産開発と分譲はすべて公共事業化するよう法と制度を整備しなければいけないのではないか?

 何よりも今回明らかになった数十億ウオンの黒い金だけでなく火天大有社が得た数千億ウオンの超過収益をすべて回収して住宅の無い庶民への住居福祉に充てなければいけないのではないか?





 しかし、「政治検察・族閥メディア・腐敗右派」カルテルが、このような疑問の解明を求める声が大きくなるのを放置するわけがなかった。彼らは「告発教唆疑惑」「大庄洞疑惑」で明らかにされた自身の特技と手法を再び使ってこの危機から逃れようとしている、それで数日前、終日『朝鮮日報』オンラインニュースのヘッドラインを飾った「<独自>尹美香、慰安婦寄付金を使ってカルビを食って、エステに通う・・・」が生まれたのだと思われる。




 その背景には、尹美香議員とその家族の数十年に及ぶ口座まで全部調査して無理矢理に起訴した政治検察らがまずおり、そのでたらめな公訴状が国民の力党のチョン・ジュヘ議員に送られ、「朝鮮日報」がそれを書き写してスティグマと偏見をあおるためさらに誇張して脚色を加えた。記事に添えられた写真も、尹議員が卑劣で好感の持てない人物に見えるよう熱心に選びぬいた痕跡が窺われる。





 『朝鮮日報』は今回もやはり悪辣だったし、「成功」した。今やNAVERで「尹美香」を検索すれば関連検索語として自動的に「カルビ」が出てくる。さらに今回目につくのは『マネートウデイ(MONEY TODAY)』だ。同社はユン議員を攻撃する記事をいくつも書いて掲載している。中でもチョン・ヨオク(元ハンナラ党議員)の「トン(金)・ミヒャン」発言を特別に強調して引用している。「大庄洞疑惑」の核心的な主犯であるキム・マンベが法曹担当チーム長だった、あの『マネートウデイ(MONEY TODAY)』である。




 これらの記事はすぐに他の大手マスコミ各社が転載して瞬時に拡散された。そこにはあらゆる妄言と罵声を込めて尹議員を呪い嫌悪する数百数千のコメントが投稿され始めた。すると国民の力党に所属する政治家と朝・中・東(チョジュンドン、朝鮮日報・中央日報・東亜日報)を好む「論客」らが尹議員を人身攻撃する発言を一斉に開始し、これを材料にした記事が再び書かれた。今や悪意の人々が尹美香議員室のFacebookに直接、罵詈雑言を書き込んで「辞任しろ」と集団でいじめを繰り返している。




 最近、国情院(国家情報院)が日本の右翼と手を組んで尹議員を査察し苦しめていたことが明らかになり、苦しい中でも黙々と社会的弱者のために献身する尹議員の国政活動に遅ればせながら光が当てられて、支援の輪が広がりを見せ始めていた矢先に、またもや魔女狩りが始まったのである。既得権カルテルは自身の危機脱出用にスケープゴートが必要だっただけでなく、民衆運動の現場から輩出された国会議員がこのような活動を国会でも継続することを許すことができないのであろう。




 このような魔女狩りといじめ(bullying)を主導し同調する勢力にとって、「尹議員が慰安婦被害者らのために集めたお金を横領して、交通違反の罰金を払い、焼き肉店やマッサージ店で使った」というのは政治検察が公訴状に書いた一方的な主張であって、関連して進行中の裁判でことごとく反駁され反対の証拠も提示されているという事実は、全く重要ではないのだ。




 これらの証拠と証人は「挺対協に法人カードが一つしかなかった初期の頃に、慰安婦被害者らに食事を出したり、水曜デモに参加して疲れた高齢の被害者たちにマッサージを受けさせて、とりあえず尹議員が立て替え払いをした後で精算したお金などを、数十年間分、全部集めると多額になるだけだ」ということを示している。このような状況でも、尹議員と挺対協の活動家は薄給の一部を自ら寄付までしながら献身したにもかかわらずだ。




 しかし、社主が25千億ウオンの不動産を所有する『朝鮮日報』と、社主の名前が「火天大有社の50億ウオン名簿」に掲載されているという『マネートウデイ(MONEY TODAY)』社は、真実には全く関心を示さない。ただただ「郭尚道辞任」の局面を「尹美香辞任」のフレームに変えたいだけだ。そこで、尹議員が10数年間、活動の過程で必要なものを千ウオン、1万ウオンと、とりあえず個人のお金で立て替え払いをして後で清算したものを「醜い不正」に仕立て上げて魔女狩りすることに没頭した。




 彼らは、尹議員側や裁判を傍聴した人々に聞けばすぐに確認できる事実を全く検証していない。どうせ彼らは「魔女」の抗弁など聞く気もないのだ。自分たちに必要な時には、まるで首に鎖でもつけた奴隷のように尹議員を呼び出し泥を塗りたくった上で、「ここにいるこの汚い魔女にみんな石を投げろ」と扇動するだけだ。




 同時に、このような世論裁判をつかって裁判の結果にも影響を及ぼそうとしている。尹議員の側では裁判所に否定的に見られることを恐れて、公的な対応をしにくいということを悪用して。



結局、『朝鮮日報』がフェイクニュースの被害者を救済することを趣旨とする言論仲裁法改正案妨害を主導したのは、「われわれは悪意のフェイクニュースでこれからも報道被害者をいじめる自由がほしい」という意味だったわけだ。




 このように、フェイクニュースとアビュージング(※)記事で食いつなぐ族閥メディアが言論仲裁法改正案を全身で防いだことはある意味、理解できる。しかし、この過程に力を貸した「改革メディア」と言論労組、言論団体の態度は実際よく理解できない。代わりにフェイクニュースの被害者を救済するための「自律規制」に努力すると言うが、直ちに今回の尹美香議員のことについて族閥メディアと違う態度を示してはいない。

 



訳注 アビュージング(abusing);インターネットポータルサイトで、報道機関が意図的に検索を通じたクリック数を増やすために、同じタイトルの記事を継続的に送信したり、人気検索語を上げるためにクリック数を操作すること。

 



 問題は、本当に悲しく残念なことに、進歩左派の一部が、再び始まった尹議員への魔女狩りに同調する姿を見せていることだ。昨春に尹美香議員への魔女狩りが絶頂に達した時、主流メディアを覆ったビアホールでの飲み会、娘の留学費用、安城ヒーリングセンター等に関するたくさんの記事が、後になってフェイクニュースまたは不正確で誇張された記事であったことが明らかになった。





 その時に、そのような記事を根拠に尹議員を悪く言い、一緒になって石を投げた人たちの中で、後になってからでも反省し謝罪した人を見たことがない。ところが『朝鮮日報』等が再び持ち出した、また別のフェイクニュースをまた信じて魔女狩りに参加し、再び石を投げるならば、本当に分からなくてだまされているのか、分かっているのにだまされたふりをしているのか、疑問を持たざるをえない。




 数日前、尹美香議員の妹があげた下記の文を読んで、胸が張り裂けそうになった。尹美香議員を愛するご両親と家族の気持ちがこの1年以上の間、どれほどの地獄だったのか、生々しく描かれていて悲しみと怒りをこらえることができない。

 





 「両親はニュースが一つ出るたびに日常が壊され、眠りにつくことができない。お母さん、ニュースは見ないで、コメントは読まないで、と言っても、子どものことだからそうはいかない。スマホの普及した世の中がうらめしい。




 今日も……。元気に一日を始めようと、音楽を聴くためパソコンをつけると、ネットに接続するやいなやポータルニュースの最初の行に『尹美香』の名前が見える。ダメ、ネットを閉じて。と、頭では警告がなるけれど、自分でも分からないうちにクリック。悪意の記事に震える。本当に怒りが頭のてっぺんまで湧き上がる。




 母から電話。



 これはまた何なの? 



 お母さん、新しい話じゃないのよ。お姉さんの公判の時に検事たちが数千ウォン(数百円)、数万ウォン(数千円)の話をしたってこと。あんまりあきれた話だから法廷で失笑が出たっていうあの話。それを検察が流して、自分たちの局面を覆すためにメディアを利用しているだけだから、絶対に気にしちゃだめよ。



 それでも、気にしないわけにはいかない。




 家に帰ろうとしていた夕刻、母は心配とため息で喉が詰まって声が出ない状態で電話をかけてきた。そばにいる父は、母がやたらとニュースを見て、コメントを読んでは心配することに怒っている。父も、心配になる気持ちをわざと表に出さず、わざと気にならないふりをしようとしているのに、母がしきりに心配するので腹を立てているのだろう。




 二人は言い争いをしていても、姉の心配となると気持ちは一つだ。あんたの姉さんはご飯をちゃんと食べたかね、またどれほど孤独なことか、ズタズタに傷ついただろうに、なんとか耐えてくれるといいが、と言いながら、二人が今日一日をどう過ごしたか目に浮かぶようだ。




 姉は今、化け物のような姿で眠れない夜を過ごしているのかもしれない。彼女が学んできたことは耐えること、黙々とすべき仕事をすることしかない。そんな姉だから、今後も続くであろう無数の日々も、黙々と耐えながら与えられた仕事をしていくのだろう。私は生涯、こんなふうに生きている姉があまりにも馬鹿みたいで涙が出る」

 





 彼らのフェイクニュースは、喜んでそれにだまされてあげようとする人々がいるから存在しているのではないだろうか。なぜ一部の進歩左派と進歩(革新系)政治家たちまで尹議員に対する族閥メディアのフェイクニュースを簡単に信じ、軽々しく石を投げるのだろうか。『朝鮮日報』等のフェイクニュースが数日の間にぼろが出るのを何度も経験してきているのに、未だに彼らに対する信頼を捨てることができないのだろうか。





 そんな人々が休暇や祝日などに子どもや家族と一緒に幸せな場面を撮った写真をアップするのを見る時、「あなた方が軽々しく石を投げたあの魔女にも、愛する人々がいる。子どもたちや家族と一緒の写真をあげることなど夢にも考えられなくなった、あのボロボロになった魂を、お願いだから考えてみてほしい」と言いたくなる。




 また、「いつかあなた方が族閥メディアの標的になって、フェイクニュースの被害者になったら、どんなに悔しくて辛いか一度考えてみてほしい」と言いたい。もちろん、だます側よりも、だまされる側の方がもっと問題だとは思わない。しかし、「朝・中・東」はもちろんのこと「改革メディア」でも「魔女狩りの抗弁」はなかなか載せてくれない今、私たちは軽々しく石を投げる前に直接調べて確認する努力を、厭わずにおこなわなければならない。



              (訳:李鉄・梁澄子)


 



*尹美香議員の抗弁を具体的に載せた、ほぼ唯一のメディアである『民衆の声』の記事は以下(韓国語)。


https://www.vop.co.kr/A00001599369.html



*日本語訳は以下。

https://www.restoringhonor1000.info/2021/10/blog-post_11.html

 


*以下のサイトで尹美香議員の裁判傍聴記を見ると、事件の真実に近づくことができる(韓国語)。

https://www.ddanzi.com/free/701559958

https://www.ddanzi.com/free/701560156

https://www.ddanzi.com/free/701560366

 

ー以下、省略

 

出典

https://www.anotherworld.kr/1015?fbclid=IwAR3Fkt2IcrLGOEXsFJ3uDFdFKDp4yR04NejNdL1kEdLSS2nuHPbsLA-9QmI