今年の厳しい冬は日本列島が大雪に見舞われていますが、「慰安婦」問題をめぐっては様々な動きがありました。今日の13時から1415分まで、参議院議員会館の大講堂でCEDAW(国連の女性差別撤廃委員会)に対して日本政府が拠出金を出さないと言ったり、CEDAWの委員が訪日する予定をやめさせようとしている問題をめぐって、外務省に撤回と説明を求める集会が開かれます。


その理由として外務省は、昨年CEDAWが出した日本政府への勧告の中に皇室典範に対する記述があったことをあげているのですが、実際、この勧告は日本政府にたいへん厳しいものでした。「慰安婦」問題に関しても、一向に勧告が聞き入れられず未解決であるという項目が入っていたので、私たちはこの勧告を支持してきました。



これから開かれる議員会館での集会には、外務省のコメントもあり、参議院議員の福島みずほさんも参加されるようです。私たちはここにいるために参加できませんが、もし時間的に余裕がある方がいらしたら、是非今からでも向かっていただきたいと思います。

 


122日には、沖縄の米兵による性暴力事件が相次ぐことへの沖縄県庁前での抗議行動、それに連帯した東京での抗議行動がありました。今日のこの水曜行動でも、沖縄の米兵の性暴力問題については青木初子さんに詳しく語っていただくので、是非お聴きください。


ところが困ったことに、こうした重要な問題をほとんどのマスメディアがとりあげません。そのため一般の市民にはなかなか知らされない…という大きな問題になっています。


「慰安婦」問題のような戦争責任や戦後責任、歴史認識が問われるような問題について、日本政府は後ろ向きのままです。そして、政権を忖度したマスコミがきちんと取り上げなくなってきました。これはほんとうに忌々しい状況ではないでしょうか。

 


この27日、ドイツのケルンで、「慰安婦」問題のシンボルにもなっている「平和の少女像」を設置する案が出されて市民が準備を始めていたところ、ケルンの市長がストップをかけました。


これについてはベルリンの市民団体も動き始めましたが、ベルリンと同様に、日本政府が裏で画策をしているのではないか…と疑われています。


このような状況を見ていくと、敗戦から80年も経ち、被害者の名乗り出から30年以上が経っているのに、「慰安婦」問題の解決にはまだ時間がかかると思わざるをえません。

そしてこのことは、「慰安婦」問題と同じように日本の戦争責任、植民地支配責任を問う市民運動の様々な問題にも共通していると思います。



117日には韓国人の軍人・軍属の遺族が起こした靖国合祀取消訴訟の最高裁判決が出て上告は棄却されましたが、その傍聴と報告集会には私たちのこの団体からも4人が参加しました。ただ、最高裁の4人の裁判官のうち一人の判事は却下に異論を唱えたということで、これがちょっと希望を持たせる明るい話題になりました。


また214日には強制動員で問題となっている企業の玄関前でのアピール行動に、私たちの団体からも二人が参加して、三菱商事前、日鉄本社前、三菱重工前の3ヵ所で連帯のアピールを行いました。


日本は今年、敗戦から80年を迎えますが、加害国として、あるいは加害企業として何をすべきかは大きな課題です。企業では私たちの要請書を受け取ってくれなかったといいますが、このような共同行動は今年、さらに増えていくのではないかと思います。

 


韓国の「慰安婦」被害者・吉元玉(キル・ウォノク)さんが97歳で亡くなりました。訃報を知った時は悲しくてショックを受けました。ウォノクさんは「慰安婦」被害者から人権活動家になっていった人で、ナビ基金を作るのに貢献したり、いろいろな集会や水曜デモなどで発言もされて、その度に私たちを励ましてくれました。


韓国では名乗り出た「慰安婦」被害者は240人ほどだそうです。この背後には名乗り出ていない膨大な数の、何万人という被害者がいるはずですが、名乗り出た240人の中で生存者はすでに7人だけになってしまったといいます。これだけの歳月が経っても問題を解決できず、被害女性たちを見送らなければならない…ということは、ほんとうに申し訳なく残念で、憤りを抑えることはできません。



私たちは戦争の直接体験者ではありませんが、私たちの父母や祖父母たちが関わり、参戦し、様々な加害と被害の当事者になりました。いくらアジア各国の被害当事者の方々が亡くなられても、私たち自身は加害当事者の後継者としての役割を果たしていかなければなりません。



私は今年後期高齢者になりますが、生きている限りはこの実態を伝えていこうと思っています。私が支援してきた中国山西省の被害者たちは、すでに全員が亡くなられました。加害証言をされた元兵士・近藤一さんも3年ほど前に101歳で亡くなりました。


しかし、被害女性たちの遺族の怒りや憤懣やるかたない気持ちは消えていません。それを私たちは自分自身の問題として引き受けながら、活動を続けていきます。この問題についてもっと深く知り、次の世代に引き継いでもらわなければなりません。



ですから皆さん、今お配りしているチラシを読んでいただき、興味を持たれたり、もっと知りたいと思うことがありましたら、ぜひ私たちに声をかけてください。

どうぞよろしくお願いいたします。