〈アッピール〉第12回 8・14日本軍「慰安婦」メモリアル・デー 日本軍性奴隷制被害者の勇気を忘れず、戦争に反対し、あらゆる暴力を許さず、世界の人々と連帯し、ともに歩んでいく。
私たちは被害者の勇気を記憶し、性暴力のない社会を実現するために世界の人々と連帯します.
1991年8月14日、金学順(キム・ハクスン)さんが日本軍性奴隷制被害を告発して33年目の夏を迎えました。
敗戦後、加害の歴史、とりわけ国家による戦時性暴力の実態を隠ぺいしたまま日常に戻った日本は、アジアをはじめとする各国被害者の告発を受けて1993年「河野談話」を発表しました。しかし、その後「河野談話」の見直しを掲げて登場した安倍政権のもとで歴史否定が進み、被害者に責任を押し付ける二次加害が繰り返されてきました。加害の歴史から目を背け、国家の法的責任を否定し、日韓の政治外交問題として「2015日韓合意」をもって終止符を打とうとする姿勢は今も継続しています。
昨年11月、韓国の性奴隷制被害者が自国の法廷で日本政府を訴えた裁判の高裁判決で日本政府の責任と賠償を認める原告勝訴判決が確定しました。2022年の第一次「慰安婦」訴訟判決に続くものです。主権国家は他国の裁判権に服さないという国際慣習法を盾に裁判に参加せず、韓国政府を「国際法に違反」と非難し続けた日本政府の行為は、国家から個人中心へと進化する国際人権法の発展と社会の変化を理解できず、被害者の人権を貶める恥ずべきものです。
戦争と性暴力のない社会をめざす市民らによる「慰安婦」像や平和の少女像設置の動きが海外に拡がる中、日本政府の撤去圧力も執拗に続いています。2021年、独ベルリン・ミッテ区の市民らによって設置された平和の少女像は常に撤去の圧力にさらされてきました。今年5月、日本を訪問したベルリン市長が少女像の撤去を示唆したことに続き、ミッテ区長も9月の設置期限を前に期間延長を拒否、自主撤去するよう求めています。戦時性暴力被害を乗り越え、平和を訴えた女性たちの勇気の象徴として、ドイツで支持と理解を広げてきた少女像の撤去はドイツ市民の願いを無視した暴挙と言わざるを得ません。
戦時性暴力は過去の問題ではなく、今を生きる私たちの足元の問題です。ジェンダー平等のかけ声の一方で、日常の性暴力や性犯罪はいまも止むことがありません。沖縄をはじめ各地の米軍基地では米軍兵士による性暴力事件が起こり続け、政府、外務省がこれを先頭に立って隠ぺいし、県にさえ知らせてないという事実が明らかになりました。性暴力に立ち向かい声をあげてきた女性たち、被害者の声を掘り起こして闘ってきた沖縄をはじめ女性たちの歩みをないがしろにする行為であり、断じて許すことはできません。沖縄にさらなる負担を強いながらアメリカに従属し、軍事大国を目指す日本政府の姿勢は、同時に戦争や性暴力のない平和な社会を訴え続けた日本軍性奴隷制被害者を踏みにじっています。
今年中学校教科書検定において「慰安婦」問題を否定、天皇を軸とする令和書籍「国史教科書」を検定通過させるなど歴史の否定と右傾化が一層深刻化、「慰安婦」問題をなかったことにしたい政府の姿勢は結果的に現在の性暴力を隠蔽し、事件の増幅につながります。
私たちは、日本軍性奴隷制被害者の勇気を忘れず記憶し、日本政府の加害責任を問い続けます。戦争に反対し、あらゆる暴力を許さず、世界の人々と連帯し、ともに歩んでいきます。
2024年8月14日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動