〈正義連〉第1549回 日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ 週間報告(2022年6月22日)
歴史的事実が再度政治的交渉テーブルに載った。
発足前から歴史問題と安保問題をひとまとめにして解決するという「グランドバーゲン」、「包括的解決」、「トップダウン方式」を公言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、被害者中心の原則を捨てさった「2015韓日合意」を復帰させ、韓米日安保同盟を口実に、更なる政治的合意を試みている。
「首脳会談をしたいなら『歴史問題解決方法』から持って来い」と叱りつける日本政府に押され、外交部と駐日大使、被害者間の形式的会合の名分を探る間、韓国政府と企業が、加害者である日本政府・企業を「代位弁済」する案が浮上している。その形式的過程の責任を押し付ける「民官協力機構」創設の話も出ている。
日本政府の少女像撤去圧力は、この状況と無関係ではない。
さる4月28日、ドイツとの首脳会談で日本の岸田総理は、ショルツ総理にベルリンにある「平和の少女像」撤去を要請した。そして同日、韓国の「慰安婦法撤廃国民行動」代表は、ベルリンの「少女像」の撤去要請のために他3名と共にドイツへ行くと公言した。彼らは、6月1日に発足した「慰安婦詐欺清算連帯」の核心人物であり、水曜デモ妨害集会を続けてきた者らだ。彼らは、「慰安婦は詐欺だ」、「性奴隷はいない」、「少女像撤去」などを主張し、日本極右・歴史否定論者の立場を代弁してきた。意気揚々と募金活動を繰り広げて、彼らは6月25日にベルリンへ出発する。
実に恥ずかしい!
ホロコースト被害者が「ネオ・ナチ」の立場に立ち、加害者と結託してホロコースト記念日撤廃のために活動しているのと同様ではないか!この惨澹たる状況を造った決定的なきっかけは、「2015韓日合意」だった。
私たちははっきりと記憶している。
韓日の外交部長官の記者会見で奇襲的に発表された「2015韓日合意」は、日本政府の曖昧模糊とした意思表明、法的賠償金ならぬ慰労金10億円、「和解治癒財団」設立を代価とした駐韓日本大使館前の少女像問題協力、国際社会での非難・誹謗の自制、問題の最終的・不可逆的解決を韓国政府が約束した「政治的合意」だった。非公開を前提に、「被害者関連団体の説得、第3国顕彰碑問題、『性奴隷』用語」に関する秘密合意まで盛られた屈辱的合意だった。
これで加害者と被害者の立場は完全に逆転した。
日本政府は閣議決定で歴史教科書歪曲を推し進め、日本軍「慰安婦」問題は「1965年韓日請求権協定と2015韓日合意で解決された」、「韓国政府が国際法に違反している」、「性奴隷はいない」、「少女像は撤去されるべきだ」などを強弁し、厚かましい攻撃を繰り広げた。
以前の韓国政府は、法院の先制的判決の処置履行ができず、戦々恐々と守勢に留まって歳月を送った。「2015韓日合意」で歴史的に取り返しのつかない間違いを犯した以前の政権の後継者は、「合意精神継承」を云々して水面下で交渉を続けている。
正確な歴史認識どころか、前後関係すら把握できないで日本政府の機嫌ばかり窺い、「首脳会談と関係改善」を哀願する理由は何か?
必死に努力する姿勢で日本政府の機嫌を取り、既に評価が下った間違いを再度反復しようとする理由は何か?
問題解決どころか問題ばかり引き起こした、まさにその道へ戻ろうとする理由は何か?
歴史的真実は無理矢理に隠しても、外交的交渉では覆い隠せないのを、私たちはすでに良く知っている。
一時的に陽が覆われても、陽は必ずまた輝かしく顔を出して私たちを照らし、覆い隠された真実は私たちの前に決然と立っている。私でなくても次の人が、私たちの世代でなくてもその次の世代が必ず、そのように造り上げるからだ。
私たちは要求する。
一、尹錫悦政府は「2015韓日合意から始める」という意味が何かを明確にし、「2015韓日合意」の全過程と内容を透明性を持って公開しろ!
一、尹錫悦政府は屈辱的交渉を中断し、自主独立国家・大韓民国の国格にふさわしい、堂々とした態度で対日交渉に臨め!
一、日本政府は植民地・不法強占と戦争犯罪を認定し、被害者たちに誠意ある謝罪と法的賠償を直ちに履行しろ!
2022年6月22日
正義記憶連帯理事長 李娜榮(イ・ナヨン)
(訳 権龍夫)