<正義連>第1546回 日本軍性奴隷制度問題解決のための定期水曜デモ 週間報告
奇妙な文書が公開された。
面談日時と場所、題目と内容の要約以外の大部分は、真っ黒に塗りつぶされている文書だ。真っ黒に塗られているから却って疑問が増幅される。何かありそうに見える文書には、国民が知りたい内容が実際には存在しないのだ。外交部の文書特有の「外交的」レトリックで埋め尽くされているのが明らかだ。4回の面談という回数も、政府機関が被害者支援団体と儀礼的に持つレベルから離れていないので驚くことでない。既にすべてのことがセッティングされた状況で、「2015韓日合意」前日の夕方に知らせた内容3項目もやはり問題にならない。既にメディアも知っており、相当数の関係者にも知らされた内容だろう。
核心は、「今回の情報公開を通じて正確な事実関係を明らかにし、この間の論争が終息し、国民の知る権利が実現されることを期待する」とする文書公開に付言された外交部の論評にある。事実関係をあやふやにして論争の核心部分をすり替え、すり替えたテーマでさらにまた論争を増幅させ、何かを隠して正当化しようとする意図が、まさにここに隠されているからだ。
「2015韓日合意」論争の核心は、文書に部分公開された「日本政府の責任痛感、安倍総理直接の謝罪・反省表明、10億円レベルの日本政府予算出捐(財団設立)」ではない。この内容を誰が、何時間前に知ったのかでもない。
これを前提にして、「①慰安婦問題が最終的並びに不可逆的に解決されたものと確認、②駐韓日本大使館前の少女像問題の解決に努力、③国際社会で相互非難・批判の自制を約束する」という屈辱的な密約が含まれていたからだ。呆れ返るこの内容が、韓日外交部長官の記者会見当日に、奇襲的に発表されたからだ。これで被害者-加害者の立場が逆転し、30年以上求めてきた被害者たちの「正義と真実追求権」が、政府間の政治的な合意のために侵害されたからだ。解放すら見ることができなかった被害者、まだ社会に出てこれない被害者、社会の烙印を恐れて非公開で登録した被害者、長い年月、日本の誠実な謝罪と法的賠償を念願した被害者、このすべてを総合的に考慮しないで「なれ合い」式に行われた合意だったからだ。「被害者中心原則」に反する合意だとする批判はここから始まった。
しかも、「日本政府が失ったのは10億円だけ」、「賠償金でない慰労金」など、それ以降続いた「居直り強盗的」な安倍政権の態度は、国民的感情に火を点けた。被害者たちと全世界の市民たちは、「2015韓日合意」無効を主張して強く抵抗した。幾つかの国連人権機関は憂慮を表明し、被害者たちの真実、正義、賠償に対する権利を保障することを促した。
だから「2015韓日合意」の主役たちが公開した文書、「2015韓日合意」当時の政権を継承した政権、「2015韓日合意」から出発して韓日関係を改善しようとする政権から公表された文書、外交部長官の訪日と韓米日の局長級会談を前に公開した「2015韓日合意関連」外交部文書の意味を国民が知らない訳ではない。知られるのを恐れて真っ黒に塗られ、邪悪に隠された真実を国民が知らない訳はない。
韓国外交部へ要求する。
自国の女性に対する日帝の植民地支配と性奴隷化に対する責任を問い、被害者の人権と名誉を回復すべき義務を負った政府が、その役割を忠実に果たすどころか、被害者支援団体に理不尽なフレームをかぶせて問題の本質を糊塗する下心は何か?被害者たちの声を聴いて日本政府に堂々と法的賠償を追求する責任がある韓国政府が、自分が犯した「2015韓日合意」の過誤を「居直り強盗式」に被害者支援団体に覆い被せる意図は何か?外交部長官が貢献した「2015韓日合意」精神継承の意味は具体的に何か?3つの密約の再確認なのか?
数日前、中国に新しい被害者が現れた。韓半島だけでなく、アジア太平洋全域にわたって戦争犯罪、人道に反する犯罪を犯し、日本軍性奴隷制に対する反省どころか否認と歪曲で一貫し、再武装の道に立った日本、認定することも責任を取ることもない戦犯国家・日本、変化どころか被害者を叱りつけて脅して退行に次ぐ退行を繰返してきた日本と、再び反人権的・反歴史的・屈辱的交渉を試みる意図でないなら、不純な意図でいっぱいに満たされた文書、事実上、何の中身もない文書で「2015韓日合意」の本質を糊塗せず、交渉の全過程を明快に公開せよ!正確な事実関係を公開して論争を終息させ、国民の「知る権利」を保障せよ!
2022年6月1日
正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)
(訳 権龍夫)