〈1530回水曜デモで〉尹美香議員の除名推進に対する日本軍「慰安婦」被害者支援団体の立場
2月3日、国会倫理特別委員会は小委員会を構成して倫理審査諮問委員会で除名勧告した議員に対する懲戒審査を始めたという。日本軍性奴隷制被害者らと共にしてきた支援団体は公職者倫理法違反で実刑を受けて拘束されたイ・サンジク議員、国会議員職を悪用して利益を得たパク・トックム議員と同一視して尹美香議員を除名しようとする動きに対して強く憂慮を表明する。
まず、私たちの団体は司法的な判断が終わっていない状況で無罪推定の原則から逸脱した国会議員除名推進に強い遺憾を表明する。
去る2020年5月以後に正義連と尹美香議員にかけられた強引な検察の起訴は現在裁判を通じて真偽が明らかにされている。当時無分別に提起された12の問題は検察の調査段階で全て嫌疑なしとの結論が出ている。
2020年9月24日、検察は「挺対協・正義連告発事件捜査結果」発表で「綿密に検討したが疑惑点を発見できなかった」と明らかにした。にもかかわらずこれまでこの事案が「国民的怒り」を起こす原因とされているのは真に嘆べきことだ。次は当時検察が発表した無嫌疑処分内容ついて述べる。
二番目に、法的事実関係が明確に明らかになっていない状態で進んでいる尹美香議員除名推進は日本軍性奴隷制の歴史的究明と、そのための運動の正当性を傷つけることによってこの問題の解決に大きな脅威を招く恐れがある。長年にわたって隠蔽されてきた日本軍性奴隷制問題を世に表出させ、被害者の尊厳と名誉を回復して全世界の女性の人権と平和運動の象徴としてきたことは、特定の政治権力や政府ではなく、韓国挺身隊問題対策協議会などを中心とした市民団体だった。
民族と国家、性別と世代、理念と党派間利害関係を跳び越えたグローバルな連帯を成し遂げた市民団体の努力と、社会的烙印を乗り越えて加害者の犯罪を告発した金学順ハルモニら被害者の勇気によって歴史的真実が明らかになり、戦時性暴力などに関する国際人権規範が変わりもし、被害者中心原則が普遍化した。
今回の尹美香議員除名推進はそうした運動の歴史を蔑視し、否定する端緒となるだろう。私たちは韓国の市民社会が困難を乗り越えて築いてきた運動自体が政治的算法で裁断されてはいけないと考える。
三番目に、私たちは尹美香議員除名推進の余波が日本軍性奴隷制の歴史を否定して「慰安婦」被害者を侮辱して政治的利益を得ようとする勢力の統制不可能な拡張につながる可能性があることを憂慮する。
現在、極右歴史否定団体は日本を中心に韓国とアメリカ、ヨーロッパまでそのネットワークを拡大している。反人権、反マイノリティ、反民主という共通分母をベースに少女像撤去と設立妨害攻勢、水曜デモ攻撃、日本軍性奴隷制否定、強制動員否定、歴史教科書歪曲、被害者否定と侮辱が全方向的に進行しており、市民団体らと研究者に対する個別攻撃も無差別的に強行されている。
今回の除名推進が極右歴史否定勢力の正当性提供はもちろん、これらの主張に力を与えることは火を見るより明らかだ。歴史否定勢力と結託した極右保守勢力の政治攻勢が広範囲に強行されて自由と平等、平和と人権という最も基本的な民主主義の原則まで揺らぐ危険がある。彼らが力を得ることになれば困難な中で打ちたてた過去の歴史全般の真実が根底から揺らぎ、被害者の声は再び封鎖されることになり、公益と共存のために献身してきた数多くの市民団体と研究者に対する弾圧もまた強化されるだろう。
今でも尹美香議員の件を口実に水曜デモの現場で日章旗を振りかざし、大韓民国の歴史の根幹を否定する集団が尹美香議員の除名以後にどんな行動をするのか想像するに難くない。その否定的結果に対して国会は果たして責任を負えるか。
私たちは再び想起する。
学問的に、理念的に、あるいは政治的に日本軍性奴隷制問題と被害者を利用する彼ら、これによって名誉と尊厳が回復不可能なほどに再び踏みにじられる者たちを想起する。時には公正と常識の名前で、時には和解と和合の名のもとにどれほど多くの偏見と嫌悪、排除と差別が正当化されてきたのかを想起する。
自らの過ちと弱点を隠すためにスケープゴートを探して異常な魔女狩りを主導した彼らが「司法的・政治的」判断という美名の下に如何に多くの無念な被害者を量産してきたのか想起する。
その中で日本軍性奴隷制問題の真実が揺らいだり、恣意的に裁断され、誤った政治・外交的決定が成り立ってきたことかを想起する。
日本軍性奴隷制被害者らとともにしてきた私たちの団体は、30年以上も苦難を支えてきた運動自体を傷つけ力を弱化させようとする動きが、結局は日本帝国主義と植民主義歴史、不法植民地強制動員、性奴隷制を全て消し去ろうとする不純な意図と連結していることを再び強調する。
尹美香議員除名推進はまさにこのような歴史的流れの上にある。
私たちの団体は尹美香議員除名推進に強い憂慮を表明し、国会倫理特別委員会をはじめとする大韓民国政治家たちが以上のような内容を十分に考慮し、除名推進を直ちに中止するよう、切に要請する。
2022年2月9日
ナムヌの家、日本軍「慰安婦」歴史館、潭陽平和の少女像委員会、水原平和ナビ、日本軍「慰安婦」被害ハルモニとともにする釜山市民の会、「慰安婦」被害ハルモニとともにする馬山鎮市民の会、日本軍「慰安婦」ハルモニと共にする統営・巨済市民の会、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、日本軍「慰安婦」南海平和記念事業会、日本軍「慰安婦」正義実現慶南連帯、全南平和の少女像連帯、浦項女性会、海南平和ナビ、正義記憶連帯
(訳 方清子)