私たちは聴いているか?


 被害者の証言は、解放から無慮50年余が過ぎて始まった。韓国社会が彼女たちの言葉に対し、準備すらしていなかったからだ。故郷に帰ってきた被害者に、「隠すべきこと」、羞恥を胸の内に秘めるよう抑え込んだ。




 皮肉にも、聴く準備すらできていなかった人たちを変化させたのは、勇気ある証言を始めた被害当事者である活動家だった。91年8月14日、「私がここにいる」という言葉で被害事実を証言した故・金学順(キム・ハクスン)ハルモニの勇気は、他の被害者たちに、そして韓国社会に大きな反響を与えた。最初の証言から水曜デモは、被害者の言葉に耳を傾ける成熟した民主市民の連帯へ発展してきた。現在は日本政府に謝罪を要求する本来の目的に加え、戦時性暴力問題を知らせ、教育する尊厳な現場として機能してきた。しかし、本当にこの声を聴くべき者は、いま何をしているのか?




 この2年間、水曜デモは反対勢力の集会妨害と公権力の幇助行為で、ずっと安全を脅かされている。極右勢力は被害者と活動家に対して密かに害を加え、日本軍「慰安婦」の存在事実すら否定しながら、水曜デモを受継いできた平和碑の近辺に、先に集会届けを出して場を奪った。暴力的な状況に介入すべき警察は、嫌悪勢力の嫌悪扇動を傍観し、ようやくフェンスを巡らして保護に近い「統制」を続けている。




 「国民の力」の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は、「女性家族部廃止公約を撤回しろ」という人権運動家の李容洙(イ・ヨンス)の要求に対し、「大統領候補が決めたこと」だから公約撤回は難しいと表明した。女性家族部が廃止されても外交部などが代替可能だと、外交問題に縮小する典型的な間違いを犯した。



 明確にいう。日本軍性奴隷制問題を単純に日本との「外交問題」として接近しても、正しい解決はできない。本質は戦時性暴力だ。最初の証言があった1991年から現在まで、数多くの変化を遂げた原動力は、「聴く力」にあった。被害者の言葉を尊重し、その言葉をそのまま聴く行為は、すなわち連帯を創る強力な力になる。反動が押寄せるこの時代、私たちは語りと聴くことを止めない。被害者と連帯して正義ある解決を引き出すだろう。




その声に応える私たちは次の通り要求する。 




一、日本政府は犯罪事実を認定し、歴史歪曲を中断しろ!



一、日本政府は被害者たちへ公式謝罪し、法的賠償をしろ!



一、水曜デモは平和と人権教育の現場だ。安全な水曜デモを保障しろ!



一、極右勢力は歴史否定を止め、嫌悪扇動を直ちに中断しろ!




2022年 2月 16日

第1531回 韓国性暴力相談所・日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ・ 参加者一同



(訳 権龍夫)