「日本、慰安婦被害者に1億ウォンずつ賠償せよ」...裁判所初の判決
[JTBC] 2021-01-08
[アンカー]
韓国の裁判所が日本政府に慰安婦被害者に対して1当たり1億ウォンを支払うよう判決を下しました。 慰安婦被害者関連判決が出てきたのは今回が初めてです。 日本政府は韓国大使を呼んで抗議するなど、判決は受け入れない態度を示しました。 この会議時間に菅首相の立場も出る可能性があります。 リュ・ジョンファ班長が整理しました。
[記者]
[李容洙・女性人権活動家(画面出:YouTube「挺身隊ハルモニと共にする市民の会」):私は今、天国にいるハルモニたちのところへ行って話したいことがあります。ハルモニの皆さん、生き長らえて打ち勝ってきたのは私ではありません。 全ての皆さんが助けてくださり、勝たせてくださったのです。そして、やはり大韓民国の裁判官の皆さまをとてもありがたく誇りに思っています。何とも緊張し、嬉しくて言葉に堪えません。]
「日本政府は慰安婦被害者らに賠償せよ」という判決が今日(8日)、初めて出ました。 故ペ・チュヒさんら12人の慰安婦被害者が、日本政府に提起した民事訴訟の結果です。 韓国の裁判所は、「被害者1人当り1億ウォンの要求」を完全に受け入れ、「訴訟費用も日本政府に支払う」よう求めました。
「想像しがたい苦痛に苦しみ、被告から謝罪も受けることができなかった」とし、「慰謝料は原告が請求した1億ウォン以上だと思う」と述べました。
これまで日本政府を相手取った訴訟は何度かありましたが、判決が下されたのは今回が初めてです。 日本とアメリカの裁判所でもずっと敗訴したのです。 今回の判決に対して日本は控訴しないとしているので、この一審判決はそのまま確定します。
[李娜榮/正義記憶連帯理事長:日本軍慰安婦問題に新しい地平を切り開いた歴史的な勝訴を歓迎する。 被害者の切羽詰った訴えに誠意をもって耳を傾け、人権の最後の砦としての責務を果たした大韓民国裁判所の判決を心から歓迎する。]
今回の判決で注目すべき点、大きく2つです。
まず、「国家主権免除」を認定しなかったことです。
「国家主権免除は、ある国家が外国の裁判で被告になることはできない」という国際法の規定です。 ですから、日本という「国」が外国人「韓国」の法廷で被告になることはできないということです。 日本がこれまで堅持してきた論理でもあります。
しかし、韓国の裁判所はこれを拒否しました。 慰安婦被害者はこの論理の例外ケースだと見たのです。 なので、日本が「慰安婦被害者たちに対する反人権的な不法行為をしており」、「被害者の人権が国家主権より優先」と判断したものです。
[ソウル中央地裁(音声):この事件は被告(日本政府)によって計画・組織的に広範囲に行われた反人道的行為であり、国際慣習法に違反したと判断される。 それゆえ、国家免除の適用は難しいと見るのが相当である。 被告(日本政府)に対して裁判権を行使できる。]
2番目はこれです。 これまでの韓日関係、慰安婦問題の議論に必ず登場したのが、まさに「1965年韓日請求権協定」と「2015年韓日慰安婦合意」です。
韓国の裁判所は、「この二つの合意に慰安婦被害者の損害賠償請求権が含まれたと見ることはできず、請求権が消滅したと見ることはできない」と言っています。 ですから、日本側がいつも言ってきた立場、「すでに韓国政府が合意した」、「すべて解決された」というこの「合意」と「解決」には、「被害者個人の損害賠償請求権は含まれていない」と考えたのです。 日本政府が提起する反論について、あらかじめ韓国の裁判所が判決を下したのです。
[キム・ガンウォン/慰安婦被害者訴訟代理人:ところで日本軍慰安婦被害者は当時(韓日請求権協定)、全く論議にすらなりませんでした。 ですから当然、損害賠償請求の訴訟を受けなければなりません。 判決を宣告して賠償を受けなければならないのです。]
大変喜ばしい知らせですが、この結論に至るまでの過程は波乱万丈でした。 故ぺ・チュヒさんがこの問題を裁判所に訴えてから、今回の判決は約7年5ヵ月ぶりに出ました。
2013年8月、故ペ・チュヒさんを含めた被害者12人は、「日本が私たちを騙したり、強制的に慰安婦として供出した」と、裁判所に1人当り1億ウォン、慰謝料請求「調整申請」を出しました。 しかし、日本政府、調停申請書の受け取りも拒否し、調停期日にも出席しませんでした。 その間に、ペ・チュヒさんは亡くなりました。 調停の申し立てが受け入れられなかったので、2016年1月、裁判による正式な損害賠償請求訴訟に切り替わりました。 日本政府はやはり「主権免除」の一言で、「日本は訴訟の当事者になれない」と主張、関連書類を受け取りません。 4度目の弁論期日にも欠席しました。 日本政府の妨害だけではありません、この過程で梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長官時代に裁判所行政処が、「この訴訟を棄却または却下すべきだ」と「介入」しました。 そして本日、はじめて日本政府に対する法的判決が下りました。 生存被害者は5人、リアルタイムで判決結果を見守ったそうです。
[キム・デウォル/ナヌムの家の学芸室長:ハルモニたちは、実際は賠償にそれほど意味がないのです。 なぜならご本人の余命いくばくもないので… 賠償よりも謝罪と日本政府がこの問題を自国民に伝え続け、このような戦争犯罪がないことを望む気持ちが大きいのであって、これをお金にそんなに大きく...こだわっているわけではありません。]
日本政府は直ちに「判決を受け入れられない」と、強い遺憾の意を表明しました。 「国際法上の『主権免除』の原則を否定した」というのです。 「請求権問題は韓日間で解決済み」という、よく聞く立場を出しました。 日本政府は南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を呼んで強く抗議しました。 日本政府は「国際法」の原則を破ったから、上訴する考えもないとしています。
「加藤勝信日本官房長官:国際法上、主権免除の原則によって日本が韓国司法の対象になることは受け入れられません。 私たちは何度も今回の判決が棄却されるべきだと主張してきました。 韓国政府が国際法違反を正すことを強く要求します。]
日本メディアは今回の判決で、「韓日関係がさらに悪化する他ない」と予想しました。 2018年の強制徴用関連の大法院の判決を日本が受け入れなかったことで、すでに韓日関係は悪くなっている状態です。
当時の判決の対象は、日本製鉄や三菱重工業など日本の「企業」でしたが、今回は「日本政府」を直接の対象となっているので、対立はさらに激しくなる可能性があります。
今回の判決でも、日本政府が賠償に応じない場合、被告側の資産差し押さえ手続きにつながる可能性もあります。 被告、つまり日本政府の財産であれば日本公館、つまり大使館も含まれることになります。
事態解決に乗り出すべき日本の菅首相には目前に迫った問題が多いのです。 連日のコロナ拡散の中、昨日は東京都などの首都圏に緊急事態を宣言しました。 東京オリンピックという巨大な課題を200日後に控え、支持率が急落し、苦戦を強いられています。
[皆さん、こんにちは。ガースです]
こうした中、両国の政府は本日付で新しい大使を正式に任命しました。 駐日大使は政界代表「日本通」として知られる姜昌一(カン・チャンイル)元議員です。 姜大使は「本日の判決の意味は非常に大きい」とし、「両国の国交正常化に向け、渾身の努力を尽くす」と語りました。 日本政府は相星駐イスラエル大使を本日付で発令しました。 相星大使は、前に4年2カ月間、韓国で勤務したことがあり「韓流ファン」として知られています。 韓日両国は解決策を見出すことができるのでしょうか。
今日の提案はこのようにまとめます。
「日本政府、慰安婦被害者たちに1億ウォンずつ支給」判決… 日本「判決は受け入れられず、遺憾」
(訳 Kitamura Megumi)
原文
http://news.jtbc.joins.com/article/article.aspx?news_id=NB11987238
*リンク先に映像あり