202118日大韓民国裁判所は国際人権史に残る記念碑的判決を宣告しました。 ソウル中央地方法院(34民事部 裁判長キム・ジョンゴン)は日本軍「慰安婦」被害者が日本国を相手に提起した損害賠償請求訴訟で原告に対する被告日本国の損害賠償の責任を認めました。 

 

  正義連理事長 李娜榮(イ・ナヨン)氏


30余年間にわたって国際人権規範を主導的に更新してきた日本軍「慰安婦」問題解決運動の貴重な結実です。加害国を相手に永らく闘争してきた被害者らと国内外市民に感謝と敬意を表します。生存者だけでなく、問題解決を見ることができないまま亡くなられた方々の恨が少しでも解けることを願います。

 

今回の判決の意味は、


まずはじめに、国際人権法と国際人道法上重大な違反事項の場合、主権免除が排斥されるし、人類にとって普遍的な人権はどんな国家間条約より優先されるという真理を悟らせてくれました。個人の人権を深刻に侵害した場合には外国であっても裁判所の審判を受けることができるという重大な先例を残しました。

 


二番目に、植民地期に日本国が犯した行為の不法性が司法体系の中で初めて認められました。「日本帝国が自国の軍隊を運営するにおいてその必要性を満たすために女性たちを強制的に誘引、騙して『慰安婦』生活を強要した行為は不法」と判断することによって、この間日本国が否認してきた計画的で組織的な反人道的犯罪行為を認めたのです。

 


三番目に、被害者が負った肉体的・精神的苦痛と傷に共感して、被害者中心主義によって司法的正義を実現しました。救済および賠償を受ける被害者の権利を尊重して責務性、正義、法の支配という国際法的原則を再確認しました。「居住移転の自由を剥奪されたまま危険で苛酷な環境で」「数えきれない程暴行を受けて飢餓と傷害、病気、死の恐怖」に苦しめられた過酷な被害状況を認めて、すべての救済手続きが閉ざされている被害者の最後の訴えを受け入れました。

 


四番目に、既存のどんな談話や合意によってもこの問題が解決されたとはいえないことを再確認しました。1965年韓日請求権協定、2015年「韓日慰安婦合意」等で被害者個人の損害賠償請求権が消滅したのではないことも明確にしました。

 


最後に、判決を通じて被害者の名誉と尊厳を回復する道を開きました。日本軍「慰安婦」被害者が社会的に排除された存在しない者、あるいは無力な犠牲者ではなく、憲法上保証された人権の堂々たる主体であることを認めたのです。

 


韓国政府に要請します。

 

今回の判決は単純に金銭的賠償を要求する民事訴訟に対するものではありません。広範囲な不法性に対する認定、謝罪、賠償、再発防止策を中心とした30年の運動の正当性を確認した画期的な判決です。それでも、今回裁判所が「国家対国家としての政治的合意があったことを宣言」したに過ぎないと指摘した「2015韓日合意」を、「両国政府の公式合意」とした外交部の論評(202118)の根拠と理由は何なのか明らかにするよう求めます。「裁判所の判断を〔心より〕]尊重」というならば「被害者の名誉と尊厳回復」の方向と内容が何であるのかも具体的に提示するよう願うものです。


 

日本政府に要請します。

 

絶対規範も固定化された実体でもない国家免除理論に隠れて裁判の根拠を揺さぶって、「韓日関係破綻論」等で逆攻勢を加える行為を直ちに中断してください。 今からでも20世紀最大の人権侵害犯罪に数えられる日本軍「慰安婦」問題の不法性と責任を率直に認めて、被害者に謝罪することを要求します。今回の判決の受け入れと履行は今この地点から出発しなければならないでしょう。

 


正義連は韓日両国政府が今回の判決の結果と意味を実現する時まで、より平和な世の中を祈って実践する世界市民らと連帯して堂々と闘います。

 

2021113

正義記憶連帯理事長 李娜榮


(訳 方清子)

<動画>

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