ノー!ハプサの山本です。

ハプサは「合祀」の韓国語読みです。


植民地支配下に軍人軍属として動員され、戦死した韓国人が戦後に靖国神社に合祀されました。その数21千人以上です。


サンフランシスコ条約で日本が国際社会に復帰した後、日本政府は朝鮮人の日本国籍を剥奪する一方で、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用対象からも除外しました。

ところが、天皇のために戦死した軍人軍属として、靖国神社の神として合祀されたのです。戦没者の情報は日本政府が持っています。靖国神社が大量の戦没者情報を把握することは不可能です。日本政府は都道府県を動かして、戦没者情報を調査し、靖国神社にその情報を一括して提供しました。

一方、韓国に残された遺族には何の通知もありませんでした。合祀についても全く知らされませんでした。一家の大黒柱を失った遺族は生きていくだけで精一杯で、一家離散となった遺族もいます。

 


韓国の遺族は2001年の在韓軍人軍属裁判以来、合祀の取り消しを求めて闘いを続けています。2007年には靖国神社と日本政府を被告とした第1次合祀取り消し訴訟を提起し、2013年には第2次訴訟も提起しました。第1次訴訟には、生存したにも関わらず、戦死者として扱われ、靖国神社に勝手に合祀された「生きていた英霊」の金希鍾さんも原告として参加しています。

 


しかし、これまで裁判所は、日本政府からの靖国神社への情報提供は「行政サービスの一環」という日本政府の主張を認め、遺族らの思いを「合祀を求めるのは一般的な社会通念」だとして利益侵害を認めず、「生きていた英霊」も「受忍限度の範囲」と切り捨てました。

 


今年の117日、最高裁判所は第2次訴訟の原告のうち、国を被告とした4名の原告の訴えを取り上げ、判決を言い渡しました。

判決は20年の「除斥期間」で訴えを切り捨てるものでした。

全く知らされていない合祀に対して、20年以内に裁判を起こさなかったと不可能な条件を突きつける不当判決でした。

しかし、判決の大半を占めた三浦守裁判官の反対意見は、植民地支配の歴史を踏まえて原告らの請求を受け止め、審理が尽くされていないとして差し戻しを求めるものでした。私たちはこの意見を手掛かりに新たな闘いに踏み出します。

 


戦没者の孫の世代にあたる遺族が新たな裁判を起こす準備を進めています。先日、弁護士が韓国を訪問し、聞き取り調査も行いました。9月中に提訴の予定です。

810日にはヤスクニキャンドル行動が今年も開催されます。韓国から遺族の皆さんも参加される予定です。

韓国では戒厳措置を発動した尹錫悦大統領が弾劾され、63日には李在明大統領が誕生しました。市民がペンライトを掲げて世代を超えて民主主義を守りました。「光の広場」革命ともいわれます。

今年は久しぶりにキャンドルデモも行います。ぜひご参加ください。

ありがとうございました。(ノー!ハプサ事務局)