〈正義連〉 第1550回 日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ 週間報告
今日のこの雨が、社会の汚れ、歴史否定、破廉恥な行動などを全部洗い流してくれたらと思います。この雨は、今日のデモの参加者の心情を表しているかのようです。
今日のデモは、落ち着いて開催できました。何故なら、いつもここで嫌悪発言と歴史否定を事としていた人たちが、ドイツへ行ったからです。
しかし他方で、暗たんとした気持ちになります。
ドイツ市民とドイツ僑胞たちは、「本当に衝撃的だ」といいます。私たちが知るドイツは、ホロコースト加害国です。長い間ドイツは、加害事実を認定し、反省し、謝罪し、教育してきました。ホロコーストを公然と否定することに対する法的処罰まである国です。そんな国で、日本軍性奴隷制の被害事実を否定する行為が、どう受け止められるでしょう?ドイツの市民と僑胞は、「衝撃的だ」といいます。いまその人たち(韓国極右)が、6日間ベルリンの少女像の前でデモをします。これに対し、ドイツのコリア協議会と市民団体がカウンター集会を開催し、文化公演も催しています。ここへ毎日、100名余りの市民が集まっています。
ここに正義記憶連帯も、すべての連帯団体、国内外の市民の意志を集め、「ベルリン少女像の永久設置」のために署名活動を展開しています。ベルリン少女像は、世界中の人たちの戦時暴力根絶の意思、人権・平和の象徴になっています。その意義を守るため、「ベルリン少女像の永久設置」のための世界市民署名を展開中です。この署名は、ミッテ区庁に伝えられ、「ベルリン少女像の永久設置」のために大きな力になるでしょう。
数日前の文化日報によれば、韓国政府高位者が「2015韓日合意を復活させる」と発言しています。実際、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権就任前に韓日政策協議団が日本へ派遣されました。その協議団には、2015韓日合意の立役者たちが含まれていました。「韓日関係改善」という名目で、日本軍「慰安婦」問題や歴史問題が、あたかも障害物で、早期処理すべき課題であるかのような発言が次々と尹政権から漏れています。
これは、2015韓日合意の密約に関係しています。「海外少女像撤去に韓国政府が協力する」という密約です。「2015韓日合意復活」をいう前に、ベルリン少女像について日本の岸田総理がドイツのショルツ総理へ「撤去」を要請したことに対し、明確な態度を韓国政府は表明すべきです。2015韓日合意以降、日本教科書で日本軍「慰安婦」問題の記述が消え、「強制連行はなかった」と発言する日本政府の状況について、韓国政府はどんな態度なのか鮮明にすべきです。2015韓日合意に触れる前に、尹政権はこれを優先すべきです。
「何が過ちなのか具体的に良く分からないが、いずれにしろチョット済まなかった」というのが、90年代からの日本政府の公式的態度でした。ところが2015韓日合意以降、その態度さえなくなりました。2015韓日合意は、日本政府へ免罪符を渡したのです。まさにこれが2015韓日合意の本質です。
「問題」は、宣言だけでは実現されません。問題解決のためには、過程が蓄積されなくてはいけません。「済まなかった」だけでなく、具体的に何が間違ったのか明確にし、責任を明確にして認定することが前提になるべきです。そして公式的な謝罪をすべきです。そうして、継続的に謝罪と反省の実践をしなければいけません。
どうするのか?
記憶し、教育しなければなりません。「これまで謝ってきた、ウソだ、強制徴用はなかった、少女像を撤去しろ」と日本政府は主張してはいけません。
日本軍性奴隷制の被害は、とてつもなく沢山の女性たちが到底表現できない残酷な被害を長期間に亘って受けたのです。歴史は沈黙しました。被害者の勇気で、数十年ぶりに私たちが知るようになったのです。歴史に記録され、教育し、残すべきことです。
どんなに立派な宣言でも、解決の始まりに過ぎません。解決の終りではありません。解決は、連続的な過程が蓄積されて、少しずつ解決されて行きます。過程をもって解決されるべきものです。
私たちは、政治的な合意や宣言で「解決された」として歴史的事実を隠蔽する試みに対し、協力に反対します。
2022年6月29日
正義記憶連帯 韓京姫(ハン・ギョンヒ)事務総長
(訳 権龍夫)