1. 最近持たれた韓日外相会談で韓国外交部の行為担当者が、「2015韓日合意が公式合意であり、合意を尊重するという趣旨を日本側へ伝えた』と言い、「第一に重要なことは合意の順守よりも被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷を治癒させることが合意の精神を実現すること」だという趣旨の発言をしたものと伝えられました。

2. 日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(理事長;李娜榮)は720日、「2015韓日合意」に対する韓国外務部の明確な公式的立場に対する公開質問をし、これに726日(火)までに回答することを要請しました。

 

2022 7 20

日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯


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2015韓日合意」関連 韓国外交部に対する公開質問書

2022 7 20

 

1. 718日に東京で韓日外相会談が持たれました。会談直後に外交部の高位担当者は記者たちに、「2015韓日合意が公式合意であり、合意を尊重するという趣旨を日本側へ伝えた」と述べ、「第一に重要なことは合意の順守よりも、被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷のを治癒させることが合意の精神を実現することだ」という趣旨で発言したといいます。


「合意精神を具現するためにいろいろ方法を論議している」とも述べました。これは朴振(パク・チン)外交部長官が羽田空港で記者たちに、「2015韓日外相の慰安婦合意」は「両国間の公式合意として尊重すべきで」、「非常に重要なのは合意精神で被害者の尊厳と名誉回復」、「心の傷を治癒する精神に立った解決方法を探す」といった発言と一脈相通ずるものがあります。朴振長官は次の19日、岸田総理と面会し、「2015年韓日慰安婦合意を韓国政府が公式合意として尊重し、この合意精神に沿って解決することを期待する」とも述べました。

 



2.  一方で「日本経済新聞」は、「岸田総理が2015韓日慰安婦合意に対する信念が強く」、「合意履行の確約なしに首脳会談を承諾するのは難しいという見解がある」と報道しました。

 



3.  20151228日、韓日外相の記者会見で突如として発表された「2015韓日合意」は、事実認定が欠如した曖昧模糊とした遺憾表明、法的賠償金ではない慰労金10億円の出捐で和解治癒財団を設立、この見返りとして駐韓日本大使館前の少女像問題に協力、国際社会での非難・誹謗の自制、最終的・不可逆的解決を韓国政府が約束した屈辱的な合意でした。非公開を前提にした「被害者関連団体の説得、第3国記念碑問題の解決、性奴隷という用語使用の自制」などの密約まで盛られた一方的で拙速な「政治的」合意でした。形式、手続き、内容、全ての面で問題のある合意だったことが満天下に晒されたものでした。

 



4.  これ以降、日本外務省の公式文献から性奴隷、強制動員などの用語は消え、歴史教科書から日本軍の関与を暗示する「従軍〕という用語まで、閣議決定を通じて削除されました。 韓国外交部が日本軍「慰安婦」問題を国連で人権レベルで提起することさえ、「2015合意」違反だと干渉しました。被害者たちが訴えた損害賠償裁判で勝訴するや、「国際法違反」だと猛非難しました。ドイツ・ベルリンの「少女像」は勿論、全世界の市民の力で設置・設置中の「少女像」の撤去・設置妨害も露骨に行われてきました。日本軍「慰安婦」問題がすべて解決されたと主張して日本政府の歴史否定と歪曲はさらに露骨化、制度化されてきました。「2015韓日合意」で日本軍「慰安婦」問題が解決されるどころか、加害者と被害者の立場が決定的に逆転し、さらに大きな問題ばかり引き起こされてきたのです。

 


5.   続く2017 12月、韓日合意検証TFチームは検討結果の報告書で、『日本軍「慰安婦」問題は「2015韓日合意」によっては解決されないことを明示し、「馴れ合い的な交渉」で行われ、「被害者中心の原則に違反した」と指摘しました。201912月、韓国憲法裁判所も「20151228日の韓日外相合意は、その手続きと形式、内容に照らしてみる時、法的拘束力がある正式条約ではなく、単純な政治的合意に過ぎない」ので、『日本軍「慰安婦」被害者たちの権利が処分されたり、大韓民国政府の外交的保護権限が消滅したと見ることはできない」と判断しました。国連などの国際社会も、被害者中心の原則を侵した少女像撤去を圧迫する韓日合意が、「真実・正義・賠償」の原則に違反すると憂慮を何度か表明してきました。

 



6.   それにもかかわらず尹錫悦政権が「2015韓日合意」を尊重し、「合意を復元し」、「合意精神を遵守」すると公式化する理由は何なのでしょう。

 



7.  次に正義記憶連帯は大韓民国外交部へ公開質問をします。

 

1) 2015韓日合意」は尹錫悦政権の外交部にとってどんな意味なのですか。「合意継承」とはどんな意味で、「合意精神」は具体的に何を意味しているのですか。日本政府が「合意事項順守」を露骨に圧迫する状況で、韓国政府が掲げている「合意精神」とは具体的に何なのか教えて下さい。

 


2) 具体的に「韓日合意尊重」で「尊重」はどんな意味なのか。どこの部分を尊重するということなのですか。突如としてなされた両国外相の記者会見形式、被害者中心原則を棄てた手続きを述べているのですか。事実認定が抜け落ちた曖昧な間接的謝罪、法的賠償金でない「慰労金」10億円で最終的・不可逆的に解決されたという呆れ返るような内容を意味するのか。「馴れ合い的」、「政治的」合意と判断した大韓民国司法府の決定を無視するという意味ですか。

 


3) 「合意精神順守」とは何を意味しているのですか。「少女像」撤去と妨害に協調するということですか。「和解治癒財団」を再度再生させるということですか。歴史を否定したり歪曲する日本政府に同調したり沈黙するということですか。国連などの国際社会で日本軍性奴隷制問題を二度と提起しないということですか。この問題を記憶し、記念しようとする国内外の市民社会を弾圧するという意味ですか。

 


4) 最後に、大韓民国の外交部は日本軍性奴隷制問題の解決方案を何だと考えているのですか。国家間の政治的合意で縫合できたり、補償金何円かで歴史の中に永遠に消えるものだと考えているのですか。

 


 日本軍性奴隷制問題は、加害国・日本が広範囲なアジアの女性たちを対象にして、重大な人権侵害と人道に関する法に違反した犯罪行為で、国際社会が認知する人権と平和の問題です。過去の問題ではありません。戦争を教訓にして平和を培って行こうとする未来の問題です。単に一国の問題ではありません。帝国主義、植民地主義、軍事主義と戦争に呻吟している全世界の問題です。尹錫悦政権が独断で「包括的な関係改善」、「韓米日安保協調」という美名の元、韓日両国の馴れ合い交渉で下手に解決できるレベルの問題ではありません。

 


 韓国政府はいまからでも関連国家の記録公開、加害国の責任認定と公式謝罪、法的賠償を受けるために積極的に努力すべきです。記録し、記念し、再発防止と正しい歴史教育のために自ら乗り出さなくてはいけません。問題解決のために憤然と立ちあがった被害当事者たちと市民たちの歴史、全世界に戦時性暴力の問題を喚起し、国際人権規範を変える過程を大韓民国の民主主義の歴史の中に誇らしく刻み込まなくてはいけません。植民地と戦争、分断を経験した大韓民国で育て上げた平和と人権、声明と正義の波が全世界を覆うその日まで、政府が努力することを信じます。

 



2022 7 20

日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯