1940年に朝鮮総督府がで労務資源調査を行っています。
この調査は、各面に5人の調査員を置き、各世帯を一軒一軒回ってその家の男性は20歳以上45歳未満の者、女性は12歳以上20歳未満の者の名前、年齢、健康状態、転業・出稼ぎ可能の有無を個人別に調査しました。
その結果「労働出稼及労働転業可能者数」として13の道の合計で、12歳以上20歳未満の女性339,006人、20歳以上45歳未満の男性1,401,126人として把握します。
その中での「希望者数」として12歳以上20歳未満の女性29,973人、男性359,494人を固有名詞で把握するのです。
この調査が実際の労務動員に果たした役割については、今後の研究が必要ですが、この調査によって男性についても女性についても、総督府が面段階で動員対象者を固有名詞で把握していたと思われます。
特に、日本軍「慰安婦」被害者がその証言で「あんた、○○ちゃんかい?」とか「○○ちゃん居るかい?」と言われて、見知らぬ男たちに連れて行かれたと語っていることを考え合わせると、「慰安婦」被害者の動員が、誰でも彼でも手あたり次第連れて行ったことも有ると思いますが、あらかじめ固有名詞でターゲットが決められており、組織的系統的に行われたものと考えることが出来ると思います。
この調査を12歳の女子を対象にしているのは、一度調査をしておけば、毎年度その子は年齢を上げるのですから、動員対象としての調査としては充分であったとも考えられます。
この資料は、2000年7月に刊行された『戦時下朝鮮人労務動員基礎資料集』(樋口雄一著)に収録されているものです。