<正義連>第1479回日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜集会・記者会見 週間報告
また、一人の被害生存者が亡くなりました。 日本の心のこもった謝罪も法的賠償も受けることができないまま、日本国を相手とする損害賠償請求訴訟の勝訴判決の喜びも享受する前に空の星になられました。もう一度故チョン・ポクスハルモニの永眠をお祈りします。苦痛のない世界でゆっくり休まれますよう、心より願うものです。
被害者がお一人、お二人とこの世を去る間、歴史否定論者と歴史修正主義者などの蠢動は絶えることがありません。
ハーバード大学三菱教授、ジョン・マーク・ラムザイヤーの論文で引き起こされた騒ぎはその端的な例です。植民地と戦争、不公平なジェンダー権力関係で成り立った構造的暴力と性搾取制度を無視したまま、日本軍性奴隷制被害者を「契約売春婦」と描写したラムザイヤー教授の論文は、加害の責任を回避し、否認してきた日本政府の主張と共鳴するものです。
ハーバード大学教授、白人男性、アメリカという国の特権が何であるのかを明確に示しており、そうした権威の土台が逆説的にどれほど貧弱なものであるかを教えてくれる事件でした。
さらにあきれるのは、学問の自由を口実にして被害者を侮辱し、2次加害に加わる一群の国内外研究者の有様です。彼らは日本軍性奴隷制被害者を「軍を相手にする売春婦」に過ぎず、「前受金を先に受け取って月給から差し引く方式」という妄言をはばかりません。日本軍性奴隷制自体に対する否定はもちろん、植民地「公娼制」という脈絡の中に性暴力と性搾取の対象になった数多くの女性たちの被害事実を否認して、帝国主義的、性差別的、人種差別的思考と実践を正当化しています。果たして21世紀民主主義国家の知識人ができることなのか、本当に惨憺たる思いです。
「学問の自由」とは、生きている人々に対する名誉毀損と集団的侮辱行為まで免除される打ち出の小づちではありません。
国際社会で多角的に認められた犯罪事実を消し去り、偽の歴史で真実を覆う行為まで容認される絶対的聖域でもありません。時空間が遠ざかるにつれて便宜的な方法で歪曲された記憶をつくりだすことができないように、反人権的犯罪行為に責任を負わない人々が歴史的叙事の唯一の権威者にならないように、全力をつくして真実を積み上げて継承しようとする者たちが不当で巨大な権力の外圧に屈しないようにする最小限の装置です。意図と目的、研究結果に対する責任を無限に免除する道具ではありません。 ペンと舌先三寸という権力の使用法を熟考しろとの警告なのです。
これに対する良心的な国内外市民の存在は真っ暗な砂漠の真中に輝く井戸のように、希望を忘れず運動を継続しなければならないもう一つの理由になっています。行事を組織して連帯声明書を発表する学生たちがいます。集団知性の力で過ちを指摘し、反論の論文を発表する研究者がいます。当該学術誌編集長に個人の名誉をかけて抗議の手紙を送る研究者がいます。彼らと連帯して惜しみなく支援する活動家たちがいます。
その中で、より正しい社会を作るために抑圧と不正の歴史に向き合おうとする全世界のフェミニストたちが今日連帯声明書を発表しました。
アメリカ、韓国、日本、フィリピン、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、カナダなどの地で1000人を越える日本軍「慰安婦」研究者、活動家、学生たちが集まりました。 論文の問題点を指摘することから一歩進んで、再び歴史否定論と嫌悪発言が学問の殿堂から羽ばたくことがない様に、女性に対する構造的暴力と性搾取が日常にならないように率先して実践していこうと決意してます。
正義連は今後も全世界の正義を求める市民らと手を握って歴史的真実を記録し、知らせ、未来世代に継承することにより一層献身します。そのために多くの方々の知恵と勇気をお願いします。みなさまが共にして下さることを信じています。
2021年2月17日
正義記憶連帯理事長イ・ナヨン
(訳 方清子)