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(署名の第1次集約日は2018年5月13日です)

 昨年12月8日、フィリピンの首都マニラに、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちを記憶するための碑が建てられた。歴史的な記念物の設置に関わる政府機関「フィリピン国家歴史委員会」が、公的に承認して設置したものだ。台座にはタガログ語で「1942~45年の日本統治下で虐待の被害に遭った全てのフィリピン女性の記憶である。彼女たちが自身の経験を語り出すまで、何年もの月日を要した」と記された。

 なぜ記憶しようとするのか。
 それは、再発防止のために他ならない。
 日本軍「慰安婦」(性暴力)被害者たちは、二度と同じような被害者を生まない平和な世界の実現を訴えてきた。今、世界に広がる日本軍「慰安婦」メモリアルは、この訴えを記憶することで、今も戦時下で、あるいは基地周辺で、そして日常の中で繰り返される性暴力を根絶しようとする決意と切望を表すものなのである。

 このような趣旨でマニラに建立された碑に対し、日本政府は設置直後から「日本政府の立場と相容れない」として「遺憾の意」を表明し、今年1月に同国を訪れた野田聖子総務相兼女性活躍担当相も「非常に残念だ」として、政府間で協議するよう求めた。
 しかし、このような「立場」表明こそが、日本軍「慰安婦」問題の解決を遠のかせ、被害女性たちを再び傷つけ、国際世論の非難を浴びる原因になっていることに、日本政府は、もういい加減に気付くべきだ。一方で「お詫び」と「反省」を口にしながら、加害の歴史をなきものにしようと、なりふり構わず被害国に圧力をかける。これは、「反省」が口先だけのものだとわざわざ行動で示すものだ。

 そもそも、フィリピンの人々が自国の犠牲者を悼む碑を自国内に建てることに対して「日本政府の立場と相容れない」と主張すること自体が恥知らずな行為だ。一方で日本政府は、日本兵戦没者の慰霊碑をフィリピン国内に建てているのである。フィリピンのラグナ州カリラヤに日本政府が設置した「比島戦没者の碑」がそれだ(厚労省HP)。
 さらに、フィリピン各地に日本人が建てた日本兵戦没者の慰霊碑は400基を超える。「日本人生還者や戦没者のご遺族の方々が、フィリピンに日本人戦没者の慰霊碑を建立しようとしたとき、フィリピンの人々は自らも戦争において約120万人もの犠牲者が出ているにもかかわらず、慰霊碑建立に快く協力」してくれたという(フィリピン戦没者慰霊碑保存協会HP)。
 かつて侵略した国に、日本兵の慰霊碑を建立する一方で、フィリピンの人々が自国の地に、日本軍による性暴力被害女性の碑を建てることに対して露骨に妨害する。しかも、その論拠が「日本政府の立場と相容れない」というのだから、私たちは日本の市民として、フィリピンの人々に申し訳なくて顔を上げることすらできない。このような非常識で厚顔無恥な態度は、世界のそしりを免れないだろう。

 そして4月27日、遂に碑は撤去された。現場で撤去を確認したという在比日本大使館は「(撤去は)フィリピン政府側の判断であり対応」とうそぶく一方で、「フィリピン政府には像設置は遺憾であり、二国間の関係に悪影響を与えないようにとの日本政府の立場を繰り返し伝えてきた」と述べている。

 恥ずかしい、あまりにも恥ずかしい言動だ。
 私たちは、このような日本政府の対応に、強い怒りを込めて抗議する。
 そして、日本軍「慰安婦」被害女性たちを記憶することで、再発防止をはかろうとするメモリアル建設に、これ以上、干渉・妨害をして、世界に恥をさらす行為をやめるよう求める。

 フィリピン政府は、現日本政府の不当な要求に屈し、自国の女性の尊厳を切り捨てたという汚名を返上しなくてはならない。フィリピン「慰安婦」被害者像を再建し、女性の人権確立に向けた姿勢を、世界に示すべきだ。

 私たちは、厳しい状況の中でも女性の人権確立と女性に対する暴力根絶のためにたたかうフィリピンの女性たちをはじめ、世界の女性たちと連帯して、日本軍「慰安婦」メモリアルがめざす本来の意味を追求するため、今後も行動を続けていく。

2018年4月30日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

※「全国行動」は、「フィリピン人元『従軍慰安婦』を支援する会」、「フィリピン元『慰安婦』支援ネット・三多摩(ロラネット)」などを含む40余りの団体で構成される全国的なネットワークです。