27年前の今日、1991年8月14日、韓国でひとりの女性が記者会見し「私は日本軍によって慰安婦にさせられた」と告発しました。金学順さんです。同様に、戦後50年近くも沈黙を強いられてきた日本軍性奴隷被害者たちは「私もだ!」と一斉に声をあげ始めました。まさに「#Me Too」のスタートでした。その声は韓国内にとどまらず、朝鮮民主主義人民共和国、台湾、中国、フィリピン、インドネシア、東ティモール、マレーシア等とアジア各地に拡がりました。その勇気ある名のり出と証言によって、歴史の闇に埋もれていた日本軍による性奴隷制度の実態が明らかにされてきました。



 しかし、それは新たな闘いの始まりにすぎませんでした。「民間業者が連れ歩いた」と開き直っていた日本政府は、被害者証言や日本軍の関与を示す確たる証拠を突きつけられても、1965年の日韓請求権協定や各国との二国間条約ですべて解決済みという立場を変えていません。2015年の「日韓合意」では、被害者を排除して、10億円のお金で「最終的で不可逆的な解決」を被害者に押し付けたのです。その後、韓国ではキャンドル市民革命を経て文在寅大統領が就任、昨年末には「日韓合意」検討結果報告が発表されました。そこでは、私たちに公開されていなかった「非公開合意」の存在や、日本政府が次々と要求を突き付け韓国政府にそれを飲ませるという、加害国としての責任を果たそうとしない、あるまじき日本政府の交渉態度も明らかにされました。

「慰安婦」問題は、国と国との外交問題ではなく、現在もなお続いている国家による人権侵害問題であり、被害者中心のアプローチによってこそ解決されるというのが、国際社会の基本認識です。しかし、日本政府は今なお「日韓合意」で解決したとの立場を変えず、国際人権機関の勧告や韓国政府に対して、抗議し続けています。韓国以外の国々で解決を求める被害者の声にも、まったく耳を貸そうとしていません。それどころか、フィリピンのマニラに建てられていた「慰安婦」像を、今年4月、「わが国の立場と相容れない」と圧力をかけ、撤去に至らせました。私たちは、日本政府の恥ずべき行為に抗議します!
 
戦時性暴力は現在なお世界の紛争地で繰り返されており、多くの女性や少女たちが犠牲となっています。また、現代社会におけるさまざまな形態の女性差別と性暴力に苦しむ女性たちの存在からも、目をそむけるわけにはいきません。
「慰安婦」問題を否定し、被害者を侮辱することをためらわない社会は、性暴力被害者に責任を押し付け、沈黙を強いる二次被害を与えます。女性への性暴力は、個人の人権侵害問題にとどまらず、国家や社会のあり様が問われている問題なのです。

今年も8・14日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを迎え、「慰安婦」問題の解決と性暴力の根絶をめざし、世界の各地や日本の各地域で取り組みが進められています。
私たちは加害国の市民として、日本軍「慰安婦」問題の解決が早期に実現するよう闘います。そして、被害者たちの願いである「戦争や暴力のない平和な世界」を実現するため、被害者とともに進んでいきます。

2018年8月14日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
  共同代表 梁澄子 柴洋子