【団体賛同募集】 8.14日本軍「慰安婦」メモリアル・デー・アピール
● 団体賛同は8月13日22時を持って締め切らせていただきます。
● 賛同団体名は当日の集会資料および本サイトにてご紹介させていただきます。
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第4回 8.14日本軍「慰安婦」メモリアル・デー・アピール
1991年8月14日、韓国の金学順さんが名乗り出たのを機に、韓国、台湾、中国、朝鮮民主主義人民共和国、フィリピン、インドネシア、オランダ、東ティモール、マレーシアなど、各国の日本軍「慰安婦」被害者たちが名乗り出て、加害国の責任を問い、四半世紀にわたるたたかいを展開してきました。戦時性暴力被害者自身によるこのたたかいは、重大人権侵害被害者の被害回復に関する国際基準を打ち立てる上で決定的な役割を果たしました。このような世界史的な意義を称えて、私たちは8月14日を日本軍「慰安婦」メモリアル・デーとし、国連記念日にすることを訴えてきました。
しかし、4回目の日本軍「慰安婦」メモリアル・デーは、昨年12月28日の日韓政府間合意(以下「合意」)という被害者不在、国際基準無視の二国間の談合により、四半世紀もの長きにわたる被害女性と市民の取り組みが一方的に踏みにじられた中で迎えることになりました。
私たちはここに、昨年末の「合意」は日本軍「慰安婦」問題の解決になりえないことを今一度、明言すると共に、7月28日に発足した「和解・癒やし財団」(以下、「財団」)の欺瞞性を明らかにし、日本政府が国際人権基準に見合った被害回復の途を示すよう強く求めます。
1.日韓両政府は、「お金」で被害者を愚弄してはならない。
韓国政府は「合意」後、被害者と被害者家族に会い、「10億円は事実上の賠償金だ」という説明をして回ったと報道されています。これは、「このお金は賠償あるいは償い金、こうしたものではありません」(3月17日参議院外交防衛委員会での岸田外相の答弁)という日本政府の立場とは明らかに異なります。
5月31日、「財団設立準備委員会」発足記者会見で金兌玄委員長が「10億円は賠償金ではない。被害者の傷を癒し名誉を尊重するというレベルで、賠償金と見るのは難しい」と発言したことの方が、日本政府の意図を正確に読み取っていると言えます。しかし、韓国政府の説明と異なる発言をした金委員長は、2日後には「(日本が)法的責任を認めて、被害者の心の傷を癒し、その癒しを通して結局賠償したという、そういう意味で拠出すると見ればいい」と苦しい弁明に転じました。
まさに、被害者不在のまま政府間での政治決着を急いだ「合意」のほころびが現れた事例で、被害者を欺き愚弄する「財団」の性質を如実に表す一例です。
「財団」発足後、「お金の性質」をめぐる日韓政府の思惑の違いは、さらに鮮明化してきました。「財団」側はあくまでも10億円を「被害者支援」として現金給付すると言い続けており、日本政府はそれが「賠償金にあたらない」ことを文書で確認することを求める方針と報道されています。公式文書すらない「合意」に、日本政府拠出金の使途だけが文書化されるという、茶番が繰り広げられようとしているのです。
2.被害国政府に責任を押しつけ「平和の碑」の撤去のみにこだわる日本政府が、「責任を痛感」していると誰が信じるだろうか。
何よりも恥ずかしく許しがたいのは、被害国政府に責任を押しつけて高みの見物を決め込む日本政府の姿勢です。「責任を痛感」し「心からのお詫びと反省の気持ちを表明する」と言うならば、その気持ちに基づいてすべきことは、何に責任を感じ、何を反省しているのかを、国内的にも国際的にも明確に示していくことであるはずです。つまり、日本軍「慰安婦」問題の歴史的事実を究明し、その事実を人々に知らせ教育し、二度と同じことが繰り返されないように教訓にしていくための取り組みこそが求められているのです。これは、安倍政権でも「継承」されている「河野談話」が示した決意でもあります。
ところが日本政府が「合意」後にとってきた姿勢は真逆です。2月の国連女子差別撤廃委員会では「軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できる資料はなかった」等と事実に反する発言をし、8カ国の市民団体と英国戦争記念館が日本軍「慰安婦」関連記録物をユネスコの記憶遺産に登録申請したことについても「記憶遺産事業が政治利用されることがないよう、制度改革を含め引き続き全力で対応していきたい」(6月2日、菅官房長官)と述べるなど、日本軍「慰安婦」問題を記憶し、人類の教訓にしようとする国際的な動きに真っ向から対立する姿勢を示しているのです。
その一方で、日本政府とメディアが関心を示すのは、ソウルの日本大使館前に設置された「平和の碑」(少女像の正式名称)の移転のみです。「平和の碑」には「1992年1月8日、日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜デモが、ここ日本大使館前ではじまった。2011年12月14日、1000回を迎えるにあたり、その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに平和の碑を建立する」とだけ書かれており、日本を非難したり侮辱したりする何らの内容も刻まれていません。「慰安婦」被害女性たちの歴史、平和、希望、連帯、解決を待ちわびる思いを込めて設置されたものです。これを共に守っていくことこそが、「反省」の気持ちが真実であることを世界と歴史に示すことになるはずです。にもかかわらず、その移転・撤去にのみ執着する姿は、「合意」で語られた「お詫びと反省」が、「最終的・不可逆的解決」なる「慰安婦」問題の抹消をめざす方便にすぎないことを、あまりにも雄弁に物語っています。
3.日本政府は、国際人権基準に基づいた被害回復措置を講じなければならない。
「合意」は、それに明確に反対を表明する韓国の被害者たちの意思を無視し、且つ、フィリピン、台湾、中国、インドネシア、東ティモール、朝鮮民主主義人民共和国、オランダ等の被害者らを完全に排除しています。「合意」は、国際人権基準に見合った被害回復とはなり得ず、日本軍「慰安婦」問題の解決にはなり得ません。
全ての不協和音は、「責任」を口にしながら「責任」を回避する日本政府の無責任な姿勢から生じています。そして、今や韓国政府も、日本政府による歴史の否定、つまりさらなる人権侵害を等閑視してまでも「合意」を推進する態度を貫き、不正義の実現に手を貸しています。
このまま「和解・癒やし財団」を推進し、「最終的・不可逆的解決」を強引に推し進めれば、歴史に取り返しのつかない禍根を残すことになります。日本政府は、第12回アジア連帯会議で各国の被害者・支援者により採択された「日本政府への提言」に沿って、国際人権基準に見合った被害回復措置を講じなければなりません。
4.私たちは、日本軍「慰安婦」問題の事実と被害女性たちのたたかいを記憶・継承していく。
私たちは、第4回日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを迎え、「慰安婦」問題の真相究明を進め、これを通して明らかになった事実と被害女性たちのたたかいを記録・記憶し、教育・継承していく決意を改めて表明します。この決意の下、加害国である日本政府の責任として、このような取り組みを率先しておこなうよう政府に求めていきます。
そして、二国間の談合的「合意」により、再び翻弄され、あるいは無視される、全ての被害者たちの尊厳回復のため、各国の市民と連帯し行動し続けていくことを宣言します。
2016年8月14日
呼びかけ団体 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
賛同団体
● 賛同団体名は当日の集会資料および本サイトにてご紹介させていただきます。
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第4回 8.14日本軍「慰安婦」メモリアル・デー・アピール
日韓「合意」は解決ではない!
1991年8月14日、韓国の金学順さんが名乗り出たのを機に、韓国、台湾、中国、朝鮮民主主義人民共和国、フィリピン、インドネシア、オランダ、東ティモール、マレーシアなど、各国の日本軍「慰安婦」被害者たちが名乗り出て、加害国の責任を問い、四半世紀にわたるたたかいを展開してきました。戦時性暴力被害者自身によるこのたたかいは、重大人権侵害被害者の被害回復に関する国際基準を打ち立てる上で決定的な役割を果たしました。このような世界史的な意義を称えて、私たちは8月14日を日本軍「慰安婦」メモリアル・デーとし、国連記念日にすることを訴えてきました。
しかし、4回目の日本軍「慰安婦」メモリアル・デーは、昨年12月28日の日韓政府間合意(以下「合意」)という被害者不在、国際基準無視の二国間の談合により、四半世紀もの長きにわたる被害女性と市民の取り組みが一方的に踏みにじられた中で迎えることになりました。
私たちはここに、昨年末の「合意」は日本軍「慰安婦」問題の解決になりえないことを今一度、明言すると共に、7月28日に発足した「和解・癒やし財団」(以下、「財団」)の欺瞞性を明らかにし、日本政府が国際人権基準に見合った被害回復の途を示すよう強く求めます。
1.日韓両政府は、「お金」で被害者を愚弄してはならない。
韓国政府は「合意」後、被害者と被害者家族に会い、「10億円は事実上の賠償金だ」という説明をして回ったと報道されています。これは、「このお金は賠償あるいは償い金、こうしたものではありません」(3月17日参議院外交防衛委員会での岸田外相の答弁)という日本政府の立場とは明らかに異なります。
5月31日、「財団設立準備委員会」発足記者会見で金兌玄委員長が「10億円は賠償金ではない。被害者の傷を癒し名誉を尊重するというレベルで、賠償金と見るのは難しい」と発言したことの方が、日本政府の意図を正確に読み取っていると言えます。しかし、韓国政府の説明と異なる発言をした金委員長は、2日後には「(日本が)法的責任を認めて、被害者の心の傷を癒し、その癒しを通して結局賠償したという、そういう意味で拠出すると見ればいい」と苦しい弁明に転じました。
まさに、被害者不在のまま政府間での政治決着を急いだ「合意」のほころびが現れた事例で、被害者を欺き愚弄する「財団」の性質を如実に表す一例です。
「財団」発足後、「お金の性質」をめぐる日韓政府の思惑の違いは、さらに鮮明化してきました。「財団」側はあくまでも10億円を「被害者支援」として現金給付すると言い続けており、日本政府はそれが「賠償金にあたらない」ことを文書で確認することを求める方針と報道されています。公式文書すらない「合意」に、日本政府拠出金の使途だけが文書化されるという、茶番が繰り広げられようとしているのです。
2.被害国政府に責任を押しつけ「平和の碑」の撤去のみにこだわる日本政府が、「責任を痛感」していると誰が信じるだろうか。
何よりも恥ずかしく許しがたいのは、被害国政府に責任を押しつけて高みの見物を決め込む日本政府の姿勢です。「責任を痛感」し「心からのお詫びと反省の気持ちを表明する」と言うならば、その気持ちに基づいてすべきことは、何に責任を感じ、何を反省しているのかを、国内的にも国際的にも明確に示していくことであるはずです。つまり、日本軍「慰安婦」問題の歴史的事実を究明し、その事実を人々に知らせ教育し、二度と同じことが繰り返されないように教訓にしていくための取り組みこそが求められているのです。これは、安倍政権でも「継承」されている「河野談話」が示した決意でもあります。
ところが日本政府が「合意」後にとってきた姿勢は真逆です。2月の国連女子差別撤廃委員会では「軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できる資料はなかった」等と事実に反する発言をし、8カ国の市民団体と英国戦争記念館が日本軍「慰安婦」関連記録物をユネスコの記憶遺産に登録申請したことについても「記憶遺産事業が政治利用されることがないよう、制度改革を含め引き続き全力で対応していきたい」(6月2日、菅官房長官)と述べるなど、日本軍「慰安婦」問題を記憶し、人類の教訓にしようとする国際的な動きに真っ向から対立する姿勢を示しているのです。
その一方で、日本政府とメディアが関心を示すのは、ソウルの日本大使館前に設置された「平和の碑」(少女像の正式名称)の移転のみです。「平和の碑」には「1992年1月8日、日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜デモが、ここ日本大使館前ではじまった。2011年12月14日、1000回を迎えるにあたり、その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに平和の碑を建立する」とだけ書かれており、日本を非難したり侮辱したりする何らの内容も刻まれていません。「慰安婦」被害女性たちの歴史、平和、希望、連帯、解決を待ちわびる思いを込めて設置されたものです。これを共に守っていくことこそが、「反省」の気持ちが真実であることを世界と歴史に示すことになるはずです。にもかかわらず、その移転・撤去にのみ執着する姿は、「合意」で語られた「お詫びと反省」が、「最終的・不可逆的解決」なる「慰安婦」問題の抹消をめざす方便にすぎないことを、あまりにも雄弁に物語っています。
3.日本政府は、国際人権基準に基づいた被害回復措置を講じなければならない。
「合意」は、それに明確に反対を表明する韓国の被害者たちの意思を無視し、且つ、フィリピン、台湾、中国、インドネシア、東ティモール、朝鮮民主主義人民共和国、オランダ等の被害者らを完全に排除しています。「合意」は、国際人権基準に見合った被害回復とはなり得ず、日本軍「慰安婦」問題の解決にはなり得ません。
全ての不協和音は、「責任」を口にしながら「責任」を回避する日本政府の無責任な姿勢から生じています。そして、今や韓国政府も、日本政府による歴史の否定、つまりさらなる人権侵害を等閑視してまでも「合意」を推進する態度を貫き、不正義の実現に手を貸しています。
このまま「和解・癒やし財団」を推進し、「最終的・不可逆的解決」を強引に推し進めれば、歴史に取り返しのつかない禍根を残すことになります。日本政府は、第12回アジア連帯会議で各国の被害者・支援者により採択された「日本政府への提言」に沿って、国際人権基準に見合った被害回復措置を講じなければなりません。
4.私たちは、日本軍「慰安婦」問題の事実と被害女性たちのたたかいを記憶・継承していく。
私たちは、第4回日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを迎え、「慰安婦」問題の真相究明を進め、これを通して明らかになった事実と被害女性たちのたたかいを記録・記憶し、教育・継承していく決意を改めて表明します。この決意の下、加害国である日本政府の責任として、このような取り組みを率先しておこなうよう政府に求めていきます。
そして、二国間の談合的「合意」により、再び翻弄され、あるいは無視される、全ての被害者たちの尊厳回復のため、各国の市民と連帯し行動し続けていくことを宣言します。
2016年8月14日
呼びかけ団体 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
賛同団体