日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク
事務局長 岡原美知子

 2011年12月14日ソウル水曜デモ1000回を記念し、「日本軍『慰安婦』被害者に正義を!韓国水曜デモ1000回アクション」が全国行動から呼びかけられました。広島でも一刻も早い解決を訴えアクションを起こそうと14日、広島市内繁華街でおよそ50人が参加し、道行く人へ日本政府による被害者への謝罪と賠償を訴える行動を起こしました。
  それまで、広島では「ナヌムの家」のハルモニたちの絵画展、「慰安婦」問題情報110番、「嘘つき英子(ヨンジャ)」公演会、ビョン・ヨンジュ監督作品3部作の上映会、被害者証言集会、そして関釜裁判広島高裁支援など行ってきていましたが、単発的取り組みで終わっていました。
その後は、2010年2月結成された全国行動と連携した活動を細々ではあるが地道に数人で継続していました。2011年の韓国憲法裁判所の違憲判決が韓国及び日本の運動への追い風となり、政権交代による日本政府の解決実現の期待も膨らみ、1000回デモは日本や韓国をはじめ世界的にも高揚しました。
  この1000回デモに呼応し結集したメンバーが、このままで広島の熱い思いを終わらせることはできない、継続した活動を行おうと、4カ月の準備期間をかけ新たな組織の結成に向け人集めに奔走し、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワークを2012年4月21日に立ち上げました。
結成集会では、「希望へと羽ばたく蝶―20年の歴史 ハルモニの平和―」の上映と、挺対協の尹美香常任代表が「日本軍性奴隷サバイバーとともにした21年」と題して記念講演を行いました。およそ100人が参加、活動計画として、毎月の第1水曜街頭行動、議会への働きかけ、学習会、全国行動との連携を挙げ、活動を開始したのです。1991年8月14日、韓国で金学順さんが被害者として名乗り出、1992年1月8日、ソウル日本大使館前での水曜デモが開始されてから実に21年目のことでした。
  それから水曜街頭行動は毎月継続し、それぞれが思いをこめたリレートークでつなぎ、手作りのチラシを配布しながら、署名を集め、「被害事実を認めること。被害者の尊厳と名誉回復の実現。日本政府による謝罪と賠償」を訴えてきました。
  今年2016年4月までに、51回を重ねました。繁華街の人通りの多い所で、第1水曜日昼12時から1時までの1時間、ソウル水曜デモと同時刻に行っています。参加者は少ない時で10数人、多い時で30人近くが集まっています。チラシは、ひろしまネットワーク手作りがほとんどですが、全国行動のリーフレットを配布することもあります。1時間で約500枚を配布しています。参加者は、ひろしまネットワークの会員が中心ですが、広教組のメンバーが毎回多く参加しています。その時々の日本軍「慰安婦」問題をめぐる情勢や課題、被害者の証言、紙芝居、講演会などの案内等工夫しながら訴えています。
  通行人の反応は、はっきり言って無関心層が多いと感じていますが、自分から積極的にチラシを受け取り署名をする人もいます。「頑張って!」と声をかけてくれる人がいるととっても嬉しくなります。中学生や高校生は話し込めるチャンスがあると意外と聞いてくれ、署名もしてくれます。学校でほとんど学ぶことがない中、きっかけになってくれたらと願い積極的に話しかけるようにしています。反対に大声で罵倒していく人や「もう解決した」「金をもらっていた」「ウソウソ」「慰安所はなかったと、兵士だったおじいさんから聞いた」などの暴言を吐いていく人もいます。
  しかし、教育の場でほとんど学ぶ機会もなく、メディアで歴史事実がきちんと報道されることもなく、「強制連行はなかった」「すでに解決済み」の政府見解や歴史修正主義による歪曲された歴史ばかりが一方的に流される日本社会の中で、私たちのこうした地道な取り組みが世論を変えていく力になると確信しています。戦争犯罪としての日本軍性暴力問題を決して忘れさせないために、女性の人権問題として、性暴力を許さない社会の実現のための行動として継続したいと考えています。
  被害者が受け入れられる解決によって私たちの水曜街頭行動も終焉する日を迎えたいと願っています。