昨日、2021年7月25日(日)午後3時(東ティモールと日本の間に時差はなし)に東ティモールのマヌファヒ県のアリシア・プレゴ(Alicia Prego)さんが息を引き取られました。東ティモール人権協会(HAK Association)から連絡がありました。





アリシア・プレゴさん(2011年、撮影・古沢希代子さん)




 先週木曜日、7月22日、東ティモール人権協会のスタッフたちがアリシア・プレゴさんを訪ねたところ、すでに身体がむくんでいて寝たきりの状態になっていました。

背中には床ずれもできていたそうです。

食事はお粥を食べれるぐらいで、それもたくさんは食べれないということでした。



その時の写真やビデオを送ってもらい、見ていたところでした。




 東ティモールでは、今年に入って3人のサバイバーが亡くなられました。2月にジェラルダ・カルドーゾさん、6月にフランシスカ・マシェドさん、そして7月にアリシア・プレゴさんです。




 アリシアさんは日本軍が侵攻したときディリからアイレウへ、さらに南部のトモナモヘと家族とともに避難しました。



しかし、結局、日本軍に差し出され、まずタカラギという軍人にレイプされました。そこにはサホ(*)もいました。タカラギが寝入った隙に逃げ出したものの、また連れ戻されました。そしてサホから「今度逃げたら殺す」と脅されました。



そうして2ヶ月ほど、日本軍と一緒にいましたが、おそらく敗戦だったのでしょう、日本軍は突然撤退したそうです。




戦後、結婚しましたが、子どもができず(戦争中に繰り返しレイプされたためと彼女は思っている)、夫はアリシアさんの妹と結婚しました。アリシアさんは、彼らから生まれた子ども2人を養子にして育てました。



 アリシアさんは私たちの訪問をいつも喜んでくれました。「おみやげなんかいらないんだよ、来てくれるだけでいいんだ」と言っていたのが思い出されます。

 ご冥福を祈ります。



松野明久

(東ティモール全国協議会)



*サホ  日本人の名前。

アリシアさんは行政官だったと。

しかし、別のサバイバーは教師といっていたそうです。

日本では教師をしていて、現地では行政官だった可能性もあるとのことでした。