今日の記者会見を残念な気持ちで見守りました。心が痛みます。

 (注:5月25日に行われた李容洙さんの記者会見のこと)

 30年の運動を一緒にしてきた日本軍「慰安婦」被害者の記者合会見に対し、立場を表すのは適切でないようです。しかし何点か、記者たちの理解を助けるために説明資料を出そうと思います。


 挺身隊と日本軍「慰安婦」、性奴隷制関連

用語の混同を避けるために簡略に整理すると次の通りです。


「挺身隊」

・「勤労挺身隊」の略語。

・小学校高学年程度の年齢で日本の軍需工場などへ引っ張られ、軍需品などを作る仕事を強制された被害者。


 「慰安婦」

・日帝によって性奴隷を強要された被害者。


「挺対協」(挺身隊問題対策協議会

・1990年代初めに活動を始めた当時には、被害の実情が知られておらず、一般的に使われる「挺身隊」と言う用語を使用した。実際、日帝植民地下で制度上の混用と用語の混用が存在。

・挺対協は一貫して、日本軍「慰安婦」被害者たちの名誉と人権回復のために活動してきた。

・挺身隊被害者を支援する団体は別途に存在し、活動家たちは混同しない。

・挺対協に含む「挺身隊」は、運動の歴史的事物に過ぎない。


「性奴隷」

・日本軍「慰安婦」被害の実情を最もよく表現する概念として国際社会で定立された。1992年初めから英語新聞にはsexual slaveryと記載されている。特に1996年人権委員会に提出されたラディカ・クマラスワミ(Radhika Commaraswamy) 報告書が「戦時下軍隊性奴隷制 (military sexual slavery in wartime)」と明確に規定したのが主要に寄与した。

・「性奴隷」は、「自由をはく奪されたまま性的搾取を受けた被害者」を意味する。

・被害者を罵倒するための用語でないのはもちろん、むしろ被害者の実情を正確に表現するための学術的に構成された概念。


 このような歴史的脈絡を詳細に知ることができなかったため、現在まで韓国の言論などでは挺身隊、従軍慰安婦「慰安婦」などを混用して使っているのが問題です。


 日本軍「慰安婦」被害者証言の採録と管理

 「証言採録と証言集発刊の背景」

 1991年8月14日、日本軍「慰安婦」被害者の金学順ハルモニ公開記者会見以降、挺対協は同年9月、被害者申告電話を開設して被害者申告を受けました、日本軍「慰安婦」被害者の李容洙ハルモニも挺対協の申告電話を通じて被害申告をしました。

 韓国政府は1992年2月、外務部傘下に被害者申告電話を開設するようになり、日本軍「慰安婦」被害者申告は挺対協と政府、アジア太平洋戦争遺族会などが進めることになります。挺対協運動の結果、1993年に被害者支援法<日帝下日本軍慰安婦に対する生活安定支援法(略称:慰安婦被害者法)(法律第4565号、1993.6.11.制定即日施行)>がつくられて政府レベルの被害者登録が始まります。


「証言採録の結果と証言集発刊状況」

 日本軍「慰安婦」被害者の李容洙ハルモニの証言は、証言集1集『強制で引っ張られていった朝鮮人 軍慰安婦』に収録されています。1990年代には挺対協より数カ月先につくられた「韓国挺身隊研究所」の研究員が参与して証言の採録がなされ、「挺対協」と「韓国挺身隊研究所」の共同著作物として証言集が発刊され始めました(当時は尹貞玉教授、鄭鎮星教授など、挺対協構成員と研究所構成員が重なっていた)。1993年から発刊され始めた証言集には、「被害者たちの被害事実」「現在の生活」「韓日政府に望む点」などが載せられています。

 挺対協は日本軍「慰安婦」被害者たちの声がそのまま込められた証言集発刊を通じて、日本軍「慰安婦」問題の歴史的真実を正確に知らせ、加害者の犯罪認定とそれに依る責任履行を実現しようと努力しました。当時、証言集は被害者の存在を知らせ、「証拠文書不在」を理由に不法性を否認する日本政府に対する非常に強力な証拠資料でした。

 だから今日の記者会見が特に、さらに心へ痛みとなって押し寄せます。日本右翼と歴史否定主義者たちが被害者の証言を否定し、日本軍「慰安婦」被害者の人権と名誉を毀損する挙動を見せるにあって、最も多く悪用され、攻撃を受けた方がまさに李容洙ハルモニだからです。

 被害者たちの証言は、社会的脈絡が反映されます。加害者たちは最初、金学順ハルモニの証言以降、自らの責任を否定するのに汲々とし、被害者たちの証言の信憑性を攻撃しました。被害者たちは、自らの言葉を信じない加害者たちの態度に憤怒する一方、自らの被害性を立証するための努力をします。その過程で日本軍「慰安婦」動員の強制性と不法性、被害者の存在自体を否定する加害者に立向うため、被害者たちの証言の中で一部が変化する過程が現れもしました。しかし、日本軍「慰安婦」として受けた被害の本質的な中身は、決して変わりませんでした。

  今日、ハルモニが詳細に被害事実をお話しなさいました。加害者たちが一日も早く自らの犯罪事実を認定し、法的責任を履行し、これ以上日本軍「慰安婦」被害者たちの人権と名誉が毀損されない日が来るよう、正義連はより一層、最善を尽くして活動します。


                      2020年5月25日


        日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯