4月23日の緊急シンポジウム後の報道に対する全国行動の見解
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それは、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が「法的責任をめぐる既存の要求を多少緩和した」(『ハンギョレ新聞』4月24日付)、「挺対協が法的責任に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換した」(『北海道新聞』4月25日付)といったもので、とりわけ記事全般にわたって間違った記述をしている『北海道新聞』に対しては、挺対協が4月28日付で訂正を要求、5月1日付紙面に訂正記事が掲載されました。
訂正内容は以下のとおりです。
訂正前 | 訂正後 |
<見出し> 慰安婦問題、日本に『法的責任』は求めず 韓国・挺対協、従来方針を転換 | 慰安婦問題、日本に『法的責任』内容を説明 韓国・挺対協、解決の方向性を提示 |
韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が、日本政府に対して立法措置による賠償など「法的責任」に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換したことが分かった。代わりに「政府と軍の関与の認定」や「政府による賠償」などを盛り込み、要求を緩めた。 | 韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が、日本政府に対し慰安婦問題の解決に関してとるべき方向を提示した |
犯罪としての扱いは求めず | →削除 |
尹代表は「(法的責任を直接追及しなくても)提案内容で、実質的に日本の法的責任を明確にできる」とした。 | 尹代表は「法的責任の内容というものは提言の中に込められている」とした。 |
以下に、改めてこの間の報道について全国行動の見解を示します。
1.「提言」は挺対協が単独で決めた「方針」ではありません。
シンポジウムで言及された「日本政府への提言――日本軍『慰安婦』問題解決のために」は、今回新たに打ち出されたものではなく、昨年6月に東京で開かれた第12回アジア連帯会議で、8カ国の被害者および支援者らが集まって議論した末に採択し、日本政府に提出したものです。
この提言の中に、これまで挺対協が要求してきた「法的責任」や「国会決議による謝罪」「責任者処罰」という「文言」がないということから、挺対協が「要求を緩和した」、果ては「方針転換」したとまで報道されましたが、これは誤りです。
まず、提言はあくまでもアジア連帯会議に参加した8カ国の合意によるもので、挺対協単独の方針ではありません。挺対協は、提言の文言の中に挺対協結成当初からの7大要求が文言そのまま盛り込まれていなくても、国家がこの提言に盛り込まれた内容を履行するならば、日本国が法的責任を果たしたと見なすことができる、という判断をしてこれに同意したと、私たちは理解しています。
この度の報道は、提言が挺対協単独によるものではなく、8カ国共同の提案であるため、文言まで挺対協の7大要求と全く同じものにならないのは当たり前であるにもかかわらず、挺対協が方針を転換した、としたところに大きな誤りがあると言えます。
2.「提言」は「法的責任の内容を具体化」したものであって、「法的責任を緩和」したり「取り下げた」りしたものではありません。
シンポジウムで全国行動の梁澄子共同代表が提言の経緯と内容説明として出したペーパーのタイトルは「被害者が求める法的解決とは」でした。その中では、「被害者が受け入れられる解決策」だけが「現実的な解決策」であるという認識が示され、では「被害者が受け入れられる解決策」とは何か、それは国が「法的責任」を果たすことである、その「法的責任」の中身がこの提言の中に具体的に書かれている、と説明しました。
また、挺対協の尹美香代表は「法的解決」に関する記者の質問に「提言で言及したものが法的責任の内容だ。つまり法的責任の内容を立法解決という器に入れれば立法解決を通して法的責任が履行されるのであり、閣議決定を通してやれば閣議決定という器を通して法的責任が履行される。法的責任の内容は何かということが、この提言の中に込められているということだ」と答えています。(より詳しくは4月28日付「北海道新聞」への「訂正要求」書を参照してください)
3.「提言」に沿った解決が実現されるよう、報道機関の理解と協力を求めます。
被害者が一人でも多く存命のうちに問題を解決しなければならない。
この思いは、とりわけ各国で被害者支援をしてきた団体にとって切実なものです。挺対協も例外ではありません。
昨年、8カ国の被害者と支援団体の意思を集めて日本政府に提出した「提言」は、そのような思いの結集です。
しかし、提言の発表・提出から1年が経とうとする現在に至るまで、日本政府からは何らの応答もありません。
各国の報道機関が、この「提言」に込められた被害者および支援団体の解決への切実な思いをくみ取り、「慰安婦」問題解決のために協力してくださるようお願いいたします。
2015年5月2日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動