私たちは怒っている。

 

1017日早朝、ベルリン・ミッテ区役所は約30名の警察部隊を動員し、私たちの平和の少女像を強制撤去した。

この像は、第二次世界大戦中に日本軍によって拉致され性奴隷として連行されたいわゆる「慰安婦」女性たちだけでなく、戦争と紛争の中で性暴力の被害者となった全世界のすべての人々を称える象徴物である。しかし区役所は今、その記念碑を拉致してしまった。まるでその当時の少女や女性たちのように。

 



今回の事態は私たちに深い傷と記憶を呼び起こす。あの時も少女と女性たちは制服を着た男たちに強制的に連れ去られた。両親は娘たちがどこへ行ったのか、どこにいるのかさえも知るすべがなかった。

 



記憶を消し去ろうとするこのような卑怯な行為は、歴史を消し去り、政治的に不都合な市民社会の声を抑圧しようとする試みに他ならない。私たちのスローガン「記憶は抵抗を語る(Erinnerung heißt Widerstand)」は区役所によって歪曲され、私たちは「暴力的」とレッテルを貼られた。そして、それが警察投入の口実に利用された。区役所は民主的で非暴力的な抵抗が何であるかを全く理解していない。



 

区役所は「都市空間の公共用地には個人芸術作品は最長2年間のみ設置可能」というミッテ区の規定を掲げているが、この規定は法条項でもなく、区役所が恣意的に20257月に急造したものである。もし有効期限が切れたという理由で撤去すべきという基準が本当に存在するなら、なぜ平和の少女像だけが撤去され、他の造形物はそのまま残されているのか? これは政治的に意図された差別であり、不平等な処置である。

 


平和の少女像を撤去した行為は、性暴力被害者たちに対するさらなる侮辱であるだけでなく、モアビット地域の住民たちと連帯する全ての市民に対する無礼であり侮辱である。区庁は過去5年間、平和の少女像の永久存続をこれほどまでに切望してきた市民の意思を徹底的に無視してしまった。

 


3,000人以上の署名と、少女像維持を支持した区議会(BVV)の複数の決議を無視し、区長は独断的に行動した。ベルリン・ミッテ区長シュテファニー・レムリンガーは、自身が所属する緑の党が下した決議さえも無視した。

 


これにより彼女は民主主義と公的議論を損ない、自身の政党が掲げるべきフェミニズム的・脱植民地的な記憶文化に真っ向から反する行為を行った。

 


私たちは以下を要求する

 

1. 私たちはベルリン・ミッテ区青年社会民主党の「シュテファニー・レムリンガー区長は即時辞任せよ」という要求を積極的に支持する。彼女は撤去の責任者であり、民主的な意思決定を踏みにじった。


2. 平和の少女像「アリ(Ari)」を元の位置に即時復元し、完全に復帰させよ。


3. 撤去、運搬、再設置、維持に必要な全費用を区役所が負担すること。


4. 像の傍らに歴史的背景と意味を記した案内板を設置すること。


5. 区役所は今回の暴力的な撤去過程について、心からの謝罪と公式な説明を直ちに発表すること。


6. ドイツ政府は今後、平和の少女像に対する日本政府の撤去圧力に断固として抵抗し、自国の政治機関(例:ミッテ区役所)などを保護すること。

 


私たちは悲しみと怒りを感じているが、決して諦めない。数十年にわたるフェミニスト的闘争、私たちの連帯、そして生存者たちの声は決して沈黙しない。過去5年間の闘争によって今日のベルリン市民の希望の象徴となった平和の少女像を、再びベルリンに設置する。


 

コリア協議会 代表 韓静和



(訳 方清子)