[なぜなら]マリオは悲しい
登録 2020.9.2 17:52 承認 2020.9.3
リュ・グァンオクㅣ弁護士・ナヌムの家公益通報者代理人
「韓国人はいい人だということはよく知っています。」
ナヌムの家から追い出され、退村のあるモーテルで荷物を解いたというマリオに「あまり悲しまないで」というメールを送ったところ、このように答えてきました。 深夜0時を過ぎていました。
ある日、マリオが宿として使っているゲストハウスに遺族2人がやってきました。 遺族の方々のお母さんをマリオは鮮明に覚えています。 しかし、遺族2人がナヌムの家に来る過程は、本当に理解できませんでした。 一度も遺族がそこに居住したことがなかっただけでなく、突然、ハルモニたちの墓を管理するために居住するという施設長の説明は曖昧でした。
ナヌムの家に来られたお2人のうちの1人が来たばかりで、いきなりマリオに「日本の××が…」「お前何で、この×××がここにいるのか?」と言いました。 マリオは「私はそんな日本人じゃありません。 日本に反省しろと言う日本人です」と言いましたが、その遺族は「何だって? この××が…」と言ってなおもひどい言葉を浴びせました。 マリオを押しました。
他の職員たちが遺族の大声を聞いてやって来ました。 「こいつらが何を知っていというのか。この××が。 生意気な奴等… お前ら誰と組んでこの×××××よ。」幸か不幸か彼らの怒りはマリオに向けられただけではありませんでした。 事態が収まらないと職員の中の1人が私に連絡をしてきました。 実は私にもどうしようもありませんでした。 「警察を呼んでください」
翌朝マリオに聞きました。「なぜ早く連絡しなかったのですか?」 マリオは、「時間がとても遅かったので」と答えました。 ほかの職員の方までひどい目に遭わなかったら、マリオは最後まで私に連絡をしなかったはずです。
「ナヌムの家」問題がマスコミに報道された最初の頃、太極旗を振る人々がナヌムの家の前に来ました。 ナヌムの家の問題が尹美香さんと関連があると思っていたようです。 その方々は「尹美香は退け」「民主党は責任を取りなさい」と叫んで遠くからマリオを見ました。 西洋人のように見える外見に歓呼を送ったその方々は、マリオが日本人だということが分かるとあらゆる悪口を浴びせました。 ほとんど暴力的に変わっていく彼らを止めることができませんでした。 彼らは星条旗と一緒に日の丸をよく振っているが… マリオは例外なのか…。 この程度です。 「ナヌムの家」問題が尹美香さんと関連があることを望んでいた彼らの希望が折れたせいか、その後はナヌムの家の前で太極旗がはためくことはありません。
マリオは写真を撮る人です。 '慰安婦'被害者ハルモニの写真を撮ります。 大学時代、歴史の勉強をしながらハルモニたちと知り合い、以後、ハルモニたちとの疎通を止めませんでした。ハルモニたちはマリオに延辺弁や黄海道弁、そしてたまに標準語を教えてくれ、マリオはハルモニたちに華麗で優雅でもある写真を撮ってあげました。
公益情報提供があった後、ナヌムの家はマリオに「ハルモニたちへの接近禁止」を命じました。 マリオが近づけないうちに、ハルモニたちは何か話を聞いたようでした。 ある日、ハルモニがマリオに「日本人はなぜここにいるの?」と尋ねました。 マリオはとても悲しくなりました。
再び、ナヌムの家から追い出された日の話です。 遺族の乱暴にナヌムの家施設長、そして警察まで出動しました。 不思議なことに施設長はその遺族に「ナヌムの家にいてもいい方だ」「僧侶たちが承諾した」という話ばかり繰り返しました。
警察もそんなことしてはいけないという話をするだけで、どうすることもできませんでした。 マリオが「私が出ます」と言いました。 施設長も警察もマリオを止めませんでした。
ナヌムの家の壁に横断幕が貼られました。 「日本軍慰安婦'被害者ハルモニがいらっしゃる所に日本人職員がいるのはどういうことか?」と書かれています。 ナヌムの家の日本人職員はマリオ一人です。 この横断幕はその遺族が貼ったものです。 彼に「ナヌムの家正常化推進委員会」という所属までできました。 ナヌムの家の名前の下にハルモニたちの色である黄色い布がマリオに「出て行け」と示しています。 横断幕はナヌムの家の「歴史館」の壁に電動ドリルで穴を開け、しっかり固定してありました。
あるひとは平和を侵す者に向かって武器を持ち、 ある人は平和のために文章を書き、平和を守ろうと叫びます。
マリオは、平和のためにただ悲しみを堪えています。
(拙訳:Kitamura Megumi)
★マリオとは日本人職員の矢嶋宰さんのことです。
〈原文〉
[왜냐면] 마리오는 서러워 / 류광옥
http://m.hani.co.kr/arti/opinion/because/960453.html#cb#csidxa58e5d1f78fd56a9ee9eea04d997be5