吉見義明さん講演会

買春する帝国
~日本軍「慰安婦」問題の解決を阻むものとは?~


    日時:2026年10月25日14時~(開場13時半)
    場所:神戸学生青年センター・ウエスト100(阪急六甲駅下車すぐ)
     資料代:1000円(学生・障がい者500円)
主催:「慰安婦」問題を考える会・神戸

講師:吉見義明さん
中央大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。
専攻は日本近現代史。日本軍「慰安婦」問題、近代日本の性買売の歴史、日本軍の毒ガス戦、日本民衆の戦争体験・被占領期体験・高度成長期体験などを研究している。著書に『従軍慰安婦』(岩波書店〔以下同様〕、1995年)、『毒ガス戦と日本軍』(2004年)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年)、『買春する帝国』(2019年)、『草の根のファシズム』(2022年)、『焼跡からのデモクラシー』上・下(2024年)、『日本軍慰安婦』(2025年)などがある。

【集会趣旨】
◆日本政府を揺るがした吉見義明さんの研究◆

 吉見義明さんは日本軍「慰安婦」研究の第一人者です。1992年1月には資料を発見して新聞に発表したために、日本政府は慰安所制度に対する軍の関与を認めざるを得なくなりました。それまでの日本政府は「業者が勝手にやっていたこと」と言い逃れしていたのです。その後も軍の関与を認めざるを得ない資料が次々と発見されたことにより、1993年の河野談話に繋がりました。
 日本軍慰安所制度について、現在では軍が主体となり外務省や内務省も関与した組織的な国家犯罪であることが明らかになっています。吉見義明さんの研究は実証主義なものとして定評があります。その研究成果を私たちにもわかりやすく広めるために、2025年には『日本軍慰安婦』(岩波新書)を出版しました。








◆『買春する帝国』で学ぶ性搾取の連鎖◆

吉見義明さんの著書に『買春する帝国』(岩波書店2019)があります。この書籍は「シリーズ日本史の中の世界史」の一冊として刊行され、明治政府が違法としたはずの人身取引(人身売買)によって支えられていた近代公娼制度が、帝国の形成、拡大とともに変容し、日本軍「慰安婦」制度を生み出すに至った歴史をダイナミックに描いています。公娼制度の先行研究は多いですが、吉見さんは通史として教科書のように読みやすい形で提示してくれたので、私たちは近代の性売買の歴史を実感することができるようになりました。
 そう、公娼制度は違法のはずでした。そして現在の売春防止法でも性売買は違法であるにもかかわらず、現実には福原や三宮に行けば男性は女性の性を買うことができます。性売買による被害女性は現在も再生産され続けているのです。なぜなのでしょうか?




◆買春する帝国に終止符を!◆

 法務省は売春防止法改正に向けて、専門家らによる検討会で議論を始めました。しかし検討会メンバー11人のうち女性は4人。刑法の研究者や検察官、裁判官などで、性売買の実態を知る人はいません。ヒアリングに呼ばれたのはAV出演や性的搾取の問題に取り組んでいるぱっぷすのメンバーや性売買の合法化を主張するSWASHの代表、都女性相談支援センター所長、性売買産業の立場に立つ弁護士です。性売買による被害者の声が十分に反映されたとは言い難いものでした。このまま国会で議論されることに、私たちは危機感を感じています。

 なぜ買春する帝国を終わらせることができないのか、なぜ性搾取の連鎖を断ち切ることができないのか。いま歴史から学びたいと思います。
 脱性売買社会の実現なくして、日本軍「慰安婦」問題の解決はありません。