今日は515日だが、この日には歴史に残る事件がいくつも起こってい
る。

古くは大正7年に青年将校たちによる反乱「五・一五事件」があり、1948年にはイスラエル建国でパレスチナ人が難民にされたことを嘆く「ナクバの日」。そして1972年の515日は沖縄の本土復帰の日だ。

しかし今の沖縄には、この日を祝う雰囲気はない。日本にある米軍基地の7割が沖縄に集中し、本土の防波堤にされている沖縄の苦しみは計り知れないからだ。




 さて、「慰安婦」問題に絞ってこの1カ月を振り返ると、昨年11月に韓国で出た、「慰安婦」被害者が日本政府を訴えた裁判の勝訴判決の話題が続いている。


510日には韓国の「正義記憶連帯」 理事長の李娜榮 (イ・ナヨン)さんと日本のwamの渡辺 美奈さんが、勝訴判決の意味と課題を考える「日韓プラットフォーム」のセミナーが開かれた。



中国山西省では、日本軍の性暴力を訴えてきた女性(大娘=ダーニャン)たちの遺族が韓国での勝訴判決に励まされて、日本政府を中国で提訴するというニュースが伝えらえた。

日本での裁判で大娘たちは敗訴したものの「決して諦めないで」と言い続けてきたが、既に全員が亡くなっている。その遺族たちが、母たちの想いを引き継いで立ち上がったのである。この訴えが中国で受理されるかどうかはわからないが、大娘たちの裁判支援を行ってきた私たち「山西省・明らかにする会」はこの動きに感動し、423日には提訴を支持する声明を発表した。


(山西省・明らかにする会の提訴を支持する声明は下記のブログを参照。中国語と日本語訳が掲載されている)https://shanxidaniang.blogspot.com/2024/04/statement2024ch.html




このように、韓国での勝訴判決はこれからもアジアの国々に様々な影響を与える可能性がある。私たちはそれを見守り、支援していきたい。日本軍による被害当事者が生存しなくなってしまっても、次の世代がその闘いを忘れずに引き継いでいくことには希望を感じる。

日本でも「キボタネ」の若者たちや「ふぇみゼミ」の若い女性たちが「慰安婦」問題に取り組んでいるので、大いに期待していきたい。



また、世界を見渡すと、中東のガザでのイスラエルによる殺戮や暴力に対し、アメリカの大学生たちが各地で抗議デモを始めており、フランスの高校生や大学生たちにも広がっている。つい先日、私は韓国のドキュメンタリー映画『私のろうそく』を見た。これは2016年から17年、朴槿恵大統領の退陣を求めた市民がろうそくを手に、韓国全土で1700万人もが結集した市民革命の記録だった。立ち上がった学生や市民の夥しい数とパワーには圧倒された。



日本でも1960年代、70年代にはベトナム反戦や沖縄返還、三里塚などで全国の若者たちが政治の変革を求めて立ち上がったが、今の日本ではどんなに悪政が続いても、諦めと沈黙が広がっている。安倍政権時代からの歴史否定の右派や歴史修正主義者によるバックラッシュが各地に広がっているのだ。


4月後半には、文科省が中学の歴史教科書の検定で令和書籍の極めて保守的な教科書の採択を決めた。その教科書では「慰安婦」問題はすでに解決済みとされているという。このような忌々しい事態は、日本を「普通に戦争ができる国」にしようとする勢力のなせる業である。

私たちはこうした反動的な動きに屈することなく歴史を語り継ぎ、「慰安婦」問題を解決し、平和を実現していかなければならない。