ベルリンミッテ区 [インタビュー]「右翼が日本軍『慰安婦』問題の真実を口封じするなら黙っていない」
2020-12-30
登録:2020-12-29
「右翼に反対するおばあさんたち」ベルリン北区会員のレナテ・クリスティアンスさん=クリスティアンスさん提供//ハンギョレ新聞社
1日に「平和の少女像永久存置」を決定するドイツ・ベルリンのミッテ区議会が開かれたとき、その前で「少女像の永久設置許可」を求めるデモが行われた。その中で「右翼に反対するおばあさんたち」という会の旗が目についた。この団体は3年前、オーストリアのウィーンで設立されて以来たちまち勢力を拡大し、今はドイツの69都市に地域組織があるという。1日のデモにも参加した同会の会員、レナテ・クリスティアンスさん(65)に10日、テレビ電話でインタビューした。
-「右翼に反対するおばさんたち」とはどんな団体か。
「2017年にオーストリアのウィーンで設立された。当時、極右ポピュリズム党が政権に就いた際、戦争と戦後時代を経験した年配の女性たちが「二度とあんなことが起きてはならない」という気持ちで作った。その後ドイツでも急速に広まった。現在、ドイツだけで69の都市にこの団体の集まりがある。ベルリンでは一昨年6月に設立されたが、民主的な基本価値の志向、多様性の尊重、共生と環境に対する責任などを追求する。ベルリンの会員は200人余りで、熱心に活動している人は50~60人だ」
-どんな活動を?
「ひと月に1回、全体の定期会合を行って親睦も深める。私はベルリン北区。テーマ別の集まりは教育、演劇、歴史、女性主義、環境といった分科会に分けて行う。例えば、環境分科会で活動する方は、街路樹の保護や青少年の気候変動対処運動の『未来のための金曜日』などに参加する。教育分科会は極右主義や人種差別とナチス問題を集中して扱い、学校で生徒たちに時代を証言する講演もする。女性主義分科会では男女平等問題に関心を持って活動する。
私の関心は難民と統合問題。 これと関連したデモで3回ほど発言もした。私は今「行動」分科会で活動している。
この間、ある会員が私に手紙を書いて少女像の問題で私たちがどのような行動ができるかを尋ねてきた。その時、私は様々なアイデアを絞り出して支援し、その活動をともにしている。団体のすべての活動が行動分科会を通して行われる」
1日、デモに「右翼に反対するおばあさんたち」の会員も団体の旗を持って参加した=ハン・ジュヨン通信員//ハンギョレ新聞社
-以前はどんな仕事をしていたのか。
「看護師だった。医師と結婚して、夫が個人医院を運営していたときに子育てしながらその医院で一緒に働いた。
離婚し、50歳の時に保健医療情報管理士という仕事を新たにスタートし、引退するまで働いた。子育てをしていた30代ごろ、教会所属の平和グループで活動した。その時に政治的な関心を持ち、当時の社会問題だった反戦、平和デモに参加した。チェルノブイリ原発爆発事件(1986年)が起きて反核運動に参加し、数年間この活動をした」
-「右翼に反対するおばあさんたち」にはどうやって加入したのか。
「離婚して新しい職業教育を受け仕事を始めた時、政治問題で活動する時間がなかった。4年前に引退してベルリンに来たが、急に時間が多くなった。そのため、大規模な反戦平和デモがあるたびに参加した。欧州の価値を守ろうという『ヨーロッパの脈拍』や『未来のための金曜日』のデモに出るたびに『右翼に反対するおばあさんたち』の旗が目についた。その時、関心を持つようになって参加した」
1日、コリア協議会など在ドイツ韓国人たちと
ミッテ区の少女像永久存置連帯デモ
「女性を対象にした戦争犯罪は普遍的問題
少女像はみんなに考えるきっかけをくれた」
3年前にオーストリアのウィーンで設立
「極右スローガン」ステッカーをはがす活動も
-少女像の活動をしながらどんなことを考えたか。
「女性を対象にした戦争犯罪は韓国だけの問題ではない。戦争で女性が物のように取り扱われるのは世界的な現象だ。私たちの団体はこれ以上このような非人権的なことが起こるのを黙って見過ごさない。そしてそのような歴史が世間に知られていないことも黙って見てはいないだろう。私たちはこの慰安婦関連運動をうれしく思う。この歴史は東アジアの特殊な歴史だが、皆に考えるきっかけを与えてくれる。私は少女像を守るデモをしながらインターネットで日本の慰安婦問題に関する歴史資料を探して読み始めた。私は少女像を通じて、私の人生で初めてこの問題を考えるようになった。
例えば、母に若い頃東プロイセンからドイツに避難していた時にどんなことが起きたのか、これまで一度も聞かなかったし、母が話すこともなかった。新聞で性暴力犯罪が報道された時も、他人事のように思った。少女像問題で活動して勉強することで、この問題が自分の問題のように身近に感じられた。このようなことがどうやって起きるのか、少女像のおかげで、より大きな文脈で見ることができるようになった。私が以前は考えもしなかった問題の重要性を知ったという点で、平和の少女像に感謝する」
-活動の中で最も印象深かった瞬間は?
「昨年8月、開かれた自由な社会、正義のある社会を目指す団体が毎年1回行う大規模な連帯デモがドレスデンであった。
その時、全国から私たちの団体の会員数千人が集まり、私たちがどれだけ大規模な団体なのか体感することができた。ハンブルク、ハノーファーなどドイツの各地域から来た私たちの団体の横断幕を見て、大きな感動を覚えた。こんなに多くの女性が同じ運動をしているなんて、本当に素晴らしかった」
-団体活動を通じて個人的に変わったことはあるか。
「昨日(9日)がわたしの65歳の誕生日だった。それで自分にこの問いを投げかけてみた。ホームページにこれまでの活動を撮ったビデオをアップした。それを見て、自分がここでより大きな強さを得たことに気づいた。私は以前よりずっとまじめになった。活動することが非常に嬉しく、面白い」
-活動計画は?
「来年(ドイツは)総選挙を準備している。候補たちに投げかける質問を作成している。
どの党が私たちの要求に合った政策を出すかをよく調べ、候補を緊張させる。極右に反対する活動も続け、来年1月には慰安婦関連のデモにも参加する。街灯柱に貼られた極右スローガンが書かれたステッカーをはがす『片付けるおばあさんたち』の活動も続ける。ごみをかたづけながら、通行人と言葉を交わす活動も続ける」
-活動中の難しい点は?
「難民問題。大火事で難民キャンプが燃えてしまったギリシャのモーリアを思うと悲しくなる。抗議の手紙を書き、デモをしに街に何度も出ても、政治的な変化はない。政治家たちは私たちが街頭に出ても、私たちの声を聞いてくれない。それで憂鬱になったりもするが、互いに励まし合って奮い立たせながら、そのまま地道にやっている。この過程はたやすくはなく、時には悲しいこともある。私が話したような内容の演説を若い男性が行っているのを聞いたことがある。私たちはもう年を取ったし、それでも生きられる。でもあんなに熱心に参加し、活動する若者たちの失望はさらに大きいだろう。彼らの声が政治に反映されなければ、この若者たちはいつかおかしくなって極端になるだろう。でなければ完全に背を向けてしまう。政治が変わらないのが本当に残念だ」
-会員の中でおじいさんは?
「男性会員もいる。多くはない。なぜ私たちの年代の多くの男性たちが、私たちの活動に共に取り組まないのか気になる。たぶん活動することにやや疲れてしまったのではないかと思う」
ベルリン/ハン・ジュヨン通信員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
訳C.M
<原文>