冒頭で、前田朗・東京造形大学教授が、国際人権機関の仕組み及び人権条約委員会内での審査過程を説明しました。

 続いて、渡辺美奈・日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表が「国連女性差別撤廃委員会は何をなぜ勧告したのか」について述べました。渡辺代表は、国連女性差別撤廃委員会が日本政府に対して行った「慰安婦」問題をめぐる勧告内容を時系列で説明し、日本政府は「性奴隷」や「強制連行」を削除させたというが、そもそも委員会ではこれらの言葉を使ってこなかったことを明らかにしました。そして、今回の女性差別撤廃委員会は、「被害者中心アプローチを採用していない」と日韓「合意」の評価まで踏み込み、他国の被害者に対しても国際人権法上の日本の責務を果たしておらず、被害者への十分な救済がなされないなかでは現在進行形の人権侵害であると明確に指摘したこと、そして被害者の真実・正義・被害回復の権利を保障するよう強く求めたことなど、委員会の所見のポイントを紹介しました。

 次に、前田朗・東京造形大学教授が、「国際人権水準から見た日韓合意」と題して、国際連合人権理事会による「慰安婦」問題の勧告内容を説明するとともに、「慰安婦」問題は国際人権法上も違反であると痛烈に非難しました。また、前田さんは、「日本政府は『日韓合意』により、慰安婦問題は解決したとしている。しかし、国連女性差別撤廃委員会や国連人権高等弁務官などの国際組織は、この『合意』を疑問視し、被害者中心の救済措置が取られていないと指摘した。それにもかかわらず、日本のマスメディアは日本政府の主張に沿った報道のみで、国際社会が指摘した内容や被害者の立場に沿った報道をせず、情報操作をしている」と報告しました。


日時 2016年4月3日 14:00~16:30
場所 韓国YMCA9階ホール

〈発言者〉
・渡辺美奈 日本軍慰安婦問題解決全国行動共同代表
・前田朗  東京造形大学教授