2016-08-01 ヘラルド経済

本紙、財団定款精密分析
支援の方向・拠出の時期、具体的な明示なく
日本政府介入の余地

 日本軍慰安婦被害者支援のための和解・癒やし財団が紆余曲折の末に設立されたが、財団が実際に活動を開始するまでには時間がかかる見込みだ。定款上、財団運営に日本政府の影響力が行使される余地があり、日本政府が財団の事業の方向性を問題視した場合に10億円(約108億ウォン)の拠出を先延ばしにする口実になるからだ。最悪の場合、日本国内の世論と両国の関係が悪化すれば拠出自体が空念仏になるのではないかという懸念まで出ている。
 1日、ヘラルド経済は和解・癒やし財団の定款を分析したところ、財団の事業の方向が曖昧に表記されていることが分かった。定款は、財団の目的を日本軍慰安婦被害者の名誉と尊厳の回復および心の傷の治癒のための様々な事業と定めている。慰安婦ハルモニ支援のために直接的な支援をするのか、あるいは記念事業や追悼事業など間接支援をするのか、今後の支援の方向性が明確には書かれていない。
 もちろん、財団の目的を包括的に示すことで、財団が支援事業を構想する際に自由でいられるという長所はある。実際に金兌玄「和解・癒やし財団」理事長は、財団設立記者会見で「孫の治療費を支援して欲しいという方もおり、半地下の借家から日の当たる家に引っ越したいという方もいて、ハルモニたちの要望は多様だ」とし、「それぞれが望むことを(直接支援を通して)実現してさしあげたい」と述べた。
 しかし、財団のこのような温情的な支援事業に日本政府が反旗を翻した場合、事業を進めること自体ができなくなる可能性がある。定款上、日本政府が財団活動に介入できる余地があるからだ。財団の定款第4条は事業に対する具体的な計画は理事会の議決を経て女性家族部長官の承認を得るとされている。その際、必ず女性部長官は外交部長官と協議しなければならない。日本政府が外交部を通して異議を唱える経路が設けられている形だ。現在、日本政府は10億円に対して賠償金の性格ではなく、奨学事業など未来志向的な事業に使わなければならないと主張している。しかし、金理事長は「10億円は全額、被害者ハルモニを支援することに使う」と釘を刺しており、財団と日本政府がぶつかる可能性が大きい状況だ。
 従って、日本政府が近く開催される日韓局長級協議で財団事業を問題視したら10億円の拠出が無期限に延期される可能性もある。財団の定款も10億円の拠出時期を具体的に明示しておらず、日本政府に何らの要求もできない状況だ。
 定款上、財団運営に必要な費用も問題になりうる。定款第21条は、財団の財産を基本財産と普通財産に分けているが、日本政府の拠出金10億円と、金理事長が寄託した100万ウォン(約10万円)等は基本財産として全額、被害者ハルモニのために使われることになっている。財団の事業費や一般運営に必要な経費は、普通財産およびその他の収益金で充当しなければならないが、財団が発足したばかりであるため、まだ普通財産としてこれといった資金を確保できていない状態だ。事務所の賃貸料や事務局長ら常勤者の人件費等を充当する財産がないということだ。従って、財団設立の初期には女性家族部の予算を一部入れるしかないものと見られる。
 女性家族部高官は「財団の維持費は費用処理を留保する方法で進めている」とし、「10億円が拠出されて財団の事業が本格化されたら解決策が出るだろう」と述べた。(翻訳:梁澄子)

出典
http://biz.heraldcorp.com/view.php?ud=20160801000470