今月10日、メルケル・ドイツ首相は第二次世界大戦当時にドイツ政府が犯したユダヤ人虐殺に関して謝罪した。メルケル首相以前にもアウシュビッツ収容所を訪問し、「犯罪に対する記憶は終わることのない私たちの責任」としながら「責任を認識するのは私たちの国家アイデンティティの一部」と強調したことがある。







一方、ほぼ同じ時期組織的に性奴隷制制度を企画、運営して反人道的犯罪を行った日本の歩みは相反する様相を見せている。新たに就任した岸田日本首相は第二次世界大戦における戦犯が合祀されている靖国神社に真榊を奉納して議論になっている。戦争犯罪の歴史に対する両国の相反する歩みに向き合って、日本軍性奴隷制問題に対する日本政府の責任をあらためて問い直さざるをえない。




私たちはここで再び振り返ってみる。私たちはなぜ歴史問題を正そうとするのか? 歴史問題を解決することは単純に被害者の無念を晴らすことにとどまらず、誤った歴史が繰り返されない世の中をつくっていくことだ。



いまだ私たちは女性に対する暴力と差別が継続し、国家暴力が持続する世界に生きている。再び自分と同じ被害者が生まれないことを願う日本軍性奴隷制被害生存者の願いを込めたナビ(蝶)基金が支援するパレスチナ、ウガンダ、コンゴなどの地では終わらない紛争下の性暴力で数多くの人々が苦痛の中にある。日本軍性奴隷制問題を記憶し、正義の解決のために声をあげることは、嫌悪と差別、暴力をつくり出す構造的抑圧に対抗することでもある。




加害者ではない被害生存者の言語で歴史を書き直すために、反人道的犯罪の歴史を繰り返させないために、暴力と差別に対抗するために、今日も私たちは平和路に立つ。人権と平和の叫びが今この瞬間、性暴力、性搾取に苦しんでいる女性たちに届く時まで私たちはともにするだろう。すべての人々が人権の価値を享受することができるその時まで、人権侵害の歴史を省察し、差別のない世界にあゆみを進める時まで、私たちは歩み続ける。



私たちは日本軍性奴隷制問題の正義の解決のために次の通り要求する。



. 日本政府は被害者に公式謝罪し、法的賠償を行え


. 日本政府は歴史歪曲を中止し、日本軍性奴隷制の歴史を正しく教育せよ。


. 韓国政府は日本軍性奴隷制被害者の名誉と人権回復のために国家の責任を果たせ。



 

20211020


1514回 日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜集会

参加者および正義記憶連帯


(訳 方清子)