第15回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議 決議および行動計画
私たちは、「実現されない正義、日本軍性奴隷制問題解決のために」というテーマで、2018年3月7日から9日までソウルで、第15回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議を開催した。中国の陳連村、インドネシアのヌライニ、ジャヘラン、韓国の吉元玉ら生存者と、東ティモール、インドネシア、中国、フィリピン、韓国、台湾、日本など、長きにわたり日本軍性奴隷制問題解決のため努力してきたアジア地域の活動家が参加した。また今回の会議には、アジア地域だけでなくニュージーランド、ドイツ、アメリカ、オーストラリアなど、世界各国で共に声をあげている活動家たちも参加した。
2016年5月18日から20日までソウルで開催された第14回アジア連帯会議で私たちは、被害者中心アプローチという国際人権原則に背いて2015年12月28日に発表された日本軍性奴隷制問題に対する日韓合意(以下、2015日韓合意)では、この問題が解決されないことを宣言し、闘うことを決議した。このような闘いの成果として、2018年1月9日、2015日韓合意は日本軍性奴隷制問題の解決とは言えず、よって国際人権原則である被害者中心アプローチに合致した措置をとるという韓国政府の宣言を引き出した。
しかし、日本政府は依然として、日本軍「慰安婦」問題が「性奴隷制」であるという、犯罪の本質と強制性を否定する主張を続けている。これは、被害者の証言と歴史的事実、そして国際社会で確認され共有された認識を否定することに他ならない。また、平和の碑の建立やユネスコ世界記憶遺産への登録、歴史教科書の記述を通して日本軍性奴隷制の歴史を記憶し、被害者の勇敢な闘いを継承しようとする世界市民の努力を妨害する、あらゆる圧力を加えている。
よって、私たちは、第15回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議の名で、次のように要求する。
1.日本政府に要求する。
1)日本政府は、犯罪事実を具体的かつ明確に認定し、これに基づき、覆されることのない明確で公式的な方法で被害者たちに謝罪し法的に賠償せよ。
2)日本政府は、日本軍「慰安婦」制度の政策決定過程、被害者の規模、強制連行、移送、慰安所の設置および管理と運営、戦後処理の状況を含めた、日本政府が保有する一切の資料を全面公開し、追加的な資料調査を行って徹底的に真相を究明せよ。
3)日本政府は、日本軍性奴隷制に関わる事実が義務教育課程のすべての教科書に記述されるようにし、学校教育と社会教育を通じて再発防止に努めよ。
4)日本政府は、日本軍性奴隷制という反人道的犯罪事実を否定して被害者たちにさらなる苦痛を与える一切の言動を即刻中断せよ。
5)日本政府は、国連や国際社会の勧告を直ちに受け入れ、国連機関や各国政府、そして民間団体に対する抗議や不当な干渉、威嚇を即時中止せよ。
6)日本政府は、平和の碑・追悼碑の撤去および建設中止の脅しを中断し、被害者を追悼するためのあらゆる措置をとれ。
2.被害国政府に要求する。
1)被害国政府は、被害者の名誉と人権回復の完全な実現のため、日本政府が日本軍性奴隷制に関する犯罪事実の認定、公式謝罪、法的賠償、真相調査、歴史教育、追悼・慰霊、加害者処罰の義務を果たすよう積極的に要求せよ。
2)被害国政府は、第2次世界大戦の終戦直前および直後に行方が分からなくなった日本軍性奴隷制被害女性たちの実態に対する徹底した真相究明と、虐殺された女性たちの遺骨発掘と送還を日本政府に積極的に要求せよ。
3)被害国政府は、自国の被害者の名誉と人権回復のため国家の責任を尽くせ。
4)韓国政府は、誤った「2015日韓合意」に基づいて設立された「和解・癒し財団」を即刻解散するための措置をとり、法的賠償金ではなく見舞金として渡された10億円を日本政府に返還せよ。
3.国際社会に要求する。
1)女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会、社会権規約委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会、国連人権理事会の普遍的定期的審査(UPR)など、国連人権機関で繰り返し確認された重大な人権侵害犯罪である日本軍性奴隷制問題について、「女性と平和、安全保障に関する国連安全保障理事会決議1325」などに盛り込まれた戦時の女性への暴力中止のための国際社会と世界の女性の確固たる意志を実現させるよう、国連レベルの真相調査を実施せよ。
2)国際社会は、これまで国連人権機関が採択した日本軍性奴隷制関連決議と勧告を日本政府が履行するよう強く要求し、日本軍性奴隷制被害者たちの苦痛を持続・倍加させている日本政府の犯罪否認および名誉毀損行為について糾弾し制裁せよ。
3)アメリカをはじめとする第2次世界大戦当時の連合軍政府は、日本軍性奴隷制に関するすべての資料を全面公開せよ。
4)アメリカ、カナダ、オランダ、EU、台湾、韓国等、日本軍性奴隷制決議を採択したすべての議会は、日本政府が決議の要求事項を履行するよう要求せよ。
私たちは、日ましに強化される軍事主義と覇権主義の下、日本軍性奴隷制という反人道的戦争犯罪に対する正義の実現が遅延され、今日、世界各地の武力紛争地域で女性に対する暴力が続いていることを糾弾する。私たちは、かつて沈黙を破って名乗り出た日本軍性奴隷制被害者たちの勇気と闘いを記憶し、最近、世界各地で勇気ある告発と抵抗で女性への暴力に立ち向かっている女性たちと連帯し、日本軍性奴隷制問題の解決と武力紛争地域における戦時性暴力根絶のため、次のように行動することを決議する。
1.日本政府が国際人権基準に従って、被害者の人権回復措置を行うまで、より広範囲の国際連帯を形成し最後まで活動する。
2.日本政府の歴史歪曲および歴史抹殺に立ち向かい、地域社会と学校現場での教育を通して日本軍性奴隷制問題に対する正しい認識を持つことができるよう、教育内容を開発し多様な教育事業を実施する。
3.日本軍「慰安婦」メモリアル・デーである8月14日のメモリアル週間にあわせ、日本政府の犯罪事実認定および法的責任履行を求める様々な活動を展開する。
4.アジア地域の被害者に対する被害国政府の支援政策および制度確立を求め、私たちも、被害者の痛みに対し共同の責任認識を持って被害者を支援し、人権回復のため努力する。
5.イラク、シリア、ミャンマーなど、世界各地で依然として発生している戦時性暴力犯罪の真相調査と被害者に対する積極的な保護措置をとるよう国連人権機関に求めていく。
6.6月19日の「紛争における性的暴力根絶のための国際デー」に、日本軍性奴隷制問題の解決と武力紛争地域の性暴力犯罪根絶のための共同行動に取り組む。
2018年3月9日
日本軍「慰安婦」問題解決のための第15回アジア連帯会議 参加者一同
2016年5月18日から20日までソウルで開催された第14回アジア連帯会議で私たちは、被害者中心アプローチという国際人権原則に背いて2015年12月28日に発表された日本軍性奴隷制問題に対する日韓合意(以下、2015日韓合意)では、この問題が解決されないことを宣言し、闘うことを決議した。このような闘いの成果として、2018年1月9日、2015日韓合意は日本軍性奴隷制問題の解決とは言えず、よって国際人権原則である被害者中心アプローチに合致した措置をとるという韓国政府の宣言を引き出した。
しかし、日本政府は依然として、日本軍「慰安婦」問題が「性奴隷制」であるという、犯罪の本質と強制性を否定する主張を続けている。これは、被害者の証言と歴史的事実、そして国際社会で確認され共有された認識を否定することに他ならない。また、平和の碑の建立やユネスコ世界記憶遺産への登録、歴史教科書の記述を通して日本軍性奴隷制の歴史を記憶し、被害者の勇敢な闘いを継承しようとする世界市民の努力を妨害する、あらゆる圧力を加えている。
よって、私たちは、第15回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議の名で、次のように要求する。
1.日本政府に要求する。
1)日本政府は、犯罪事実を具体的かつ明確に認定し、これに基づき、覆されることのない明確で公式的な方法で被害者たちに謝罪し法的に賠償せよ。
2)日本政府は、日本軍「慰安婦」制度の政策決定過程、被害者の規模、強制連行、移送、慰安所の設置および管理と運営、戦後処理の状況を含めた、日本政府が保有する一切の資料を全面公開し、追加的な資料調査を行って徹底的に真相を究明せよ。
3)日本政府は、日本軍性奴隷制に関わる事実が義務教育課程のすべての教科書に記述されるようにし、学校教育と社会教育を通じて再発防止に努めよ。
4)日本政府は、日本軍性奴隷制という反人道的犯罪事実を否定して被害者たちにさらなる苦痛を与える一切の言動を即刻中断せよ。
5)日本政府は、国連や国際社会の勧告を直ちに受け入れ、国連機関や各国政府、そして民間団体に対する抗議や不当な干渉、威嚇を即時中止せよ。
6)日本政府は、平和の碑・追悼碑の撤去および建設中止の脅しを中断し、被害者を追悼するためのあらゆる措置をとれ。
2.被害国政府に要求する。
1)被害国政府は、被害者の名誉と人権回復の完全な実現のため、日本政府が日本軍性奴隷制に関する犯罪事実の認定、公式謝罪、法的賠償、真相調査、歴史教育、追悼・慰霊、加害者処罰の義務を果たすよう積極的に要求せよ。
2)被害国政府は、第2次世界大戦の終戦直前および直後に行方が分からなくなった日本軍性奴隷制被害女性たちの実態に対する徹底した真相究明と、虐殺された女性たちの遺骨発掘と送還を日本政府に積極的に要求せよ。
3)被害国政府は、自国の被害者の名誉と人権回復のため国家の責任を尽くせ。
4)韓国政府は、誤った「2015日韓合意」に基づいて設立された「和解・癒し財団」を即刻解散するための措置をとり、法的賠償金ではなく見舞金として渡された10億円を日本政府に返還せよ。
3.国際社会に要求する。
1)女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会、社会権規約委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会、国連人権理事会の普遍的定期的審査(UPR)など、国連人権機関で繰り返し確認された重大な人権侵害犯罪である日本軍性奴隷制問題について、「女性と平和、安全保障に関する国連安全保障理事会決議1325」などに盛り込まれた戦時の女性への暴力中止のための国際社会と世界の女性の確固たる意志を実現させるよう、国連レベルの真相調査を実施せよ。
2)国際社会は、これまで国連人権機関が採択した日本軍性奴隷制関連決議と勧告を日本政府が履行するよう強く要求し、日本軍性奴隷制被害者たちの苦痛を持続・倍加させている日本政府の犯罪否認および名誉毀損行為について糾弾し制裁せよ。
3)アメリカをはじめとする第2次世界大戦当時の連合軍政府は、日本軍性奴隷制に関するすべての資料を全面公開せよ。
4)アメリカ、カナダ、オランダ、EU、台湾、韓国等、日本軍性奴隷制決議を採択したすべての議会は、日本政府が決議の要求事項を履行するよう要求せよ。
私たちは、日ましに強化される軍事主義と覇権主義の下、日本軍性奴隷制という反人道的戦争犯罪に対する正義の実現が遅延され、今日、世界各地の武力紛争地域で女性に対する暴力が続いていることを糾弾する。私たちは、かつて沈黙を破って名乗り出た日本軍性奴隷制被害者たちの勇気と闘いを記憶し、最近、世界各地で勇気ある告発と抵抗で女性への暴力に立ち向かっている女性たちと連帯し、日本軍性奴隷制問題の解決と武力紛争地域における戦時性暴力根絶のため、次のように行動することを決議する。
1.日本政府が国際人権基準に従って、被害者の人権回復措置を行うまで、より広範囲の国際連帯を形成し最後まで活動する。
2.日本政府の歴史歪曲および歴史抹殺に立ち向かい、地域社会と学校現場での教育を通して日本軍性奴隷制問題に対する正しい認識を持つことができるよう、教育内容を開発し多様な教育事業を実施する。
3.日本軍「慰安婦」メモリアル・デーである8月14日のメモリアル週間にあわせ、日本政府の犯罪事実認定および法的責任履行を求める様々な活動を展開する。
4.アジア地域の被害者に対する被害国政府の支援政策および制度確立を求め、私たちも、被害者の痛みに対し共同の責任認識を持って被害者を支援し、人権回復のため努力する。
5.イラク、シリア、ミャンマーなど、世界各地で依然として発生している戦時性暴力犯罪の真相調査と被害者に対する積極的な保護措置をとるよう国連人権機関に求めていく。
6.6月19日の「紛争における性的暴力根絶のための国際デー」に、日本軍性奴隷制問題の解決と武力紛争地域の性暴力犯罪根絶のための共同行動に取り組む。
2018年3月9日
日本軍「慰安婦」問題解決のための第15回アジア連帯会議 参加者一同