〈正義連〉 活動報告 第21代大統領選挙の主要候補に対する日本軍性奴隷制問題に関する見解
正義記憶連帯は5月21日、第21代大統領選挙の主要候補である金文洙(キム・ムンス)国民の力候補、李在明(イ・ジェミョン)共に民主党候補、李俊錫(イ・ジュンソク)改革新党候補、權英国民主労働党候補に日本軍性奴隷制問題に対する態度を問う質問書を送りました。
その主な内容は
1)法改正の課題:『日本帝国下における日本軍「慰安婦」被害者に対する保護・支援及び記念事業等に関する法律』(以下、被害者保護法)改正に対する立場について
2) 外交的課題:日本国に対する損害賠償請求訴訟の判決に勝訴した被害者に対する外交的保護権の行使及び日本政府の謝罪と賠償を受取るための外交的努力の有無について
3) 政治的/外交的課題:「2015日韓合意」廃棄及び和解治癒財団の残余金の国庫還流に対する立場について
4) 海外の「平和碑」保護対策について です。
以上の質問に対する回答をまとめて5月28日(水)旧日本大使館前平和路で開かれた「日本軍性奴隷制問題解決のための第1702回水曜デモ」で発表しました。
※内乱頭目の尹錫悦(ユン・ソクヨル)を擁護する政党(国民の力)と、女性家族部廃止を最重要公約に掲げた政党(改革新党)は何ら回答もありませんでした。多額の税金が補助される政党として、国民の質問にその回答を拒否したことを非難します。
※共に民主党に確認したところ、現在検討中で、5.26中にすべての回答をするのは難しいと伝えられました。 回答を受け取れなかったのは非常に残念であり、民主党が日本軍性奴隷制問題解決のための緊急の課題に今後、積極的かつ強力に対応するよう要請します。
5月28日朝、共に民主党の公約集が出ました。日本軍性奴隷制関連の公約は下記の通りです。
大韓民国民主党中央公約集 日本軍「慰安婦」関連内容一部抜粋
① 「強制動員日本軍慰安婦関連資料構築の拡大(公約集45P)
▽内乱の克服と民主主義回復
民主主義回復のための「歴史を正しくたてる」教育を強化
▽削減された歴史・領土・人権研究予算を回復する
- 歴史関連の国際広報事業を優先的に支援する
- 強制動員・日本軍「慰安婦」関連資料の構築を拡大する
② 日本軍「慰安婦」関連公約(49P)
▽内乱克服と民主主義の回復
日本軍「慰安婦」被害者の尊厳を守り、歴史認識の向上に努める
▽日本軍『慰安婦』被害者の尊厳と名誉の回復
- 被害者に対する人権侵害と名誉毀損行為の禁止を明示し、処罰の根拠を設ける。
▽日本軍『慰安婦』被害者を称える造形物または象徴物の公共造形物の指定管理を拡大する。
▽和解治癒財団の解散後、完全な清算手続きの推進
- 日本からの拠出金残余財産問題の早急な解決
- 国家レベルの日本軍「慰安婦」記録物のユネスコ世界記録遺産登録を推進する。
▽女性人権と平和財団(仮称)の設置推進
- 日本軍「慰安婦」問題解決のための資料調査及び研究、戦時の女性人権問題のための国際的な連帯などの総合的な推進体系を設立。
③ 過去史問題などデリケートな懸案事項の解決努力を継続(73P)
▽経済安全保障と韓半島平和
国益中心の実利外交で周辺4カ国との外交関係を発展させる。
▽韓日関係の未来志向的な発展のための努力
- 経済、安全保障、人的交流など、未来志向的な韓日協力関係を持続する。
- 韓米同盟、韓米日協力の維持・発展のために韓日間の協議・協力の緊密化。
- 歴史問題など敏感な懸案事項の解決努力を継続する
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次に民主労働党です。先日の第1700回水曜デモにも直接参加し、極右歴史否定勢力を力強く糾弾し、忙しい選挙運動中にも回答した民主労働党に感謝します。
正義記憶連帯の質問に答えたというより、日本軍性奴隷制問題の解決を願うすべての人の熱望に答えたと思います。權英国(クォン・ヨングク)候補は、先ほどあげた4つの質問すべてに賛成の立場を明らかにしました。さらに追加公約として次の2点を追加しました。
①日本軍慰安婦被害者支援と名誉回復を推進する。
- 歴史資料の収集、調査研究の体系的な実施
②正しい韓日関係の定立
- 過去の歴史に対する日本の国家レベルの真摯な謝罪要求
上記の内容を伝えていただきました。 ありがとうございました。
次に正義連から日本軍性奴隷制問題の現況について報告します。
1.被害者保護法
日本軍「慰安婦」被害者保護法改正は、6.3大統領選挙後に開かれる国会女性家族委員会法案審査小委員会に最初に上程される予定です。 現在、祖国革新党の金宣ミン(キム・ソンミン)議員、共に民主党の徐瑛教(ソ・ヨンギョ)議員、金容萬(キム・ヨンマン)議員の3人の議員が提出した法案が議論される予定です。日本軍「慰安婦」被害者保護法が次期政権の第1号法案になることを願っています。
国家人権委員会の水曜デモ勧告が出てから最初の水曜デモが開かれた今日、極右歴史否定勢力は地域に住むハルモニの家に押しかけ、抗議デモを行うという蛮行を犯しました。到底人間とは思えない行為です。歴史的真実を否定する行為を禁止し、被害者に対する名誉毀損行為を処罰し、被害者の権利を保護できるよう最低限の防御的な法制度の整備が必要です。
2.勝訴判決の履行
被害者たちはこれまでいかなる闘いも辞さないできました。 国際社会、国連の舞台で訴え、日本に出向いて証言集会を開催し、1992年1月8日から水曜デモも続けてきました。故・金学順(キム・ハクスン)ハルモニは公開証言をした年の1991年12月に日本の法廷で訴訟を開始し、故・黄錦周(ファン・クムジュ)ハルモニもアメリカの法廷に行き、日本国の犯罪行為は処罰されるべきだと訴えました。
あらゆる法的闘争に尽力してきた被害者たちは、韓国政府が被害者に説明もせずに「2015日韓合意」を行なったことに衝撃を受けました。そして本当に最後の手段として韓国裁判所に被告日本国を相手にして損害賠償を請求する訴訟を行いました。 過去に経験した日本の体系的で組織的な犯罪によって反人道的な被害を受けた事実を認めてほしいと裁判所に訴えました。被害者たちの切実な訴えは「国家は他国の裁判所の被告にならない」という「国家免責」を打ち破り、ついに勝訴を勝ち取りました。被害者勝訴判決は2021年、2023年、2025年まで合計3件に及びます。 しかし尹錫悦政権は何の態度も示さず、何も対応しませんでした。
日本が損害賠償を履行しないため、裁判所は韓国内の日本財産を明示する裁判判決を相次いで出しました。 正義連は今後、韓国内の日本財産を国民と共同で探すキャンペーンを行い、判決を履行するよう努力します。 勝訴判決をどのように履行するのかについて、次期政権の具体的な対応が望まれます。
3.「2015日韓合意」の廃棄
<次期政権に望む、平和と歴史正義のための課題国会討論会>(5.22)の際、ソウル大学の南基正(ナム・ギジョン)教授は「2015日韓合意」について、合意に至らなかった「2015年韓日外交長官の記者会見文」と表現しました。
記者会見から10年が過ぎたのに何の解決もせず、また新たな問題だけを引き起こすのが、「2015日韓合意」です。 これで日本軍「慰安婦」問題が解決したと騒ぎ立てる日本の詭弁の前に、尹錫悦政権は口をつぐんだままでした。 全く日本軍性奴隷制問題を論議せず、まるでなかったかのようにしてしまいました。10年を迎える今年、今こそ私物化された「2015日韓合意」を公式廃棄、あるいは実質的に廃棄し、問題解決の原則に戻らなければなりません。
4.平和碑の管理
最後に世界の平和碑の現況を把握し、管理する国として当然なことをすべきです。日本政府は何としても平和碑を設置させないようにし、設置された平和碑も全て撤去するためにあらゆる外交力、経済力を動員します。これに対して韓国大使館は完全に無対応です。日本大使館と右翼に苦しんでいるイタリアのスティンティーノ市長はこれを非常に不思議に思っています。これからは局面を変えなければなりません。
この間、遅延した歴史正義は深刻な歴史歪曲をもたらしました。 5月14日の日本軍性奴隷制問題解決のための第1700回水曜デモの現場で、日本軍「慰安婦」被害自体を否定し、被害者を侮辱する右翼たちが大きな騒音を立てて集会を激しく妨害する行為は、進行中の不正義です。
さる5月11日に李玉善(イ・オクソン)ハルモニが亡くなり、韓国政府に登録された日本軍「慰安婦」被害者はわずか6人です。次期政権はこれ以上遅くなる前に、日本軍性奴隷制問題の解決のためにできる限りの努力を尽くすことを切に要請します。
正義連は日本軍性奴隷制問題の正義の解決がなされるまで懸命に活動します。
(訳 権龍夫)