2022年10月19日は、秋晴れの中、第57回目の「水曜行動in新宿」を18名で行いました。


安倍元首相の国葬は多くの反対世論にもかかわらず強行されましたが、私たちはあらためてアベの歴史否定を問い返し、「慰安婦」問題の解決の「ボールは韓国にある」などとうそぶいている岸田政権に、問題解決の責任は常に加害者側にあることを突き付けなければなりません。


勇気を奮って立ち上がったサバイバーたちの証言を「ウソをついている」などと否定することは許されません。

サバイバーたちの尊厳を取り戻す闘いを、私たちはこの水曜行動の場所からも発信していこうと思っています。




 

池田恵理子さん(wam)


アベ国葬反対の私たちの闘い、国会正門前での梁澄子さんの訴えの重要性(添付のリーフを参照)が述べられ、中国のサバイバー・万愛花さんの不屈の闘いをDVDにまとめていることを報告。






山田久仁子さん(ロラ・ネット)


レメディアスさんのことを綴った紙芝居11枚を掲げて、その人生と闘いを語りました。


1928年、フィリピンのレイテ島、ブラウエン町エスペランサ村に生まれ、14歳のときに日本軍が進駐してきて捕らえられ、戦争終了まで「慰安婦」にされました。


戦後解放され、19歳で結婚したが、日本軍の性奴隷であったことが原因で破綻、故郷を出てマニラへ。そこで出会った男性と結婚して4人の子どもをもうけるますが、死別。生活苦と闘いながら、ひとりで子どもを育てます。


65歳の時に、「リラ・ピリピーナ」の呼びかけに応じて「慰安婦」であったことを公的に名乗り出ました。家族の反対があっても日本政府に対する公的謝罪と賠償を求めて人権活動家として闘いました。








川見公子さん(山西省を明らかにする会)


安倍元首相や日本政府は「強制連行はなかった、証拠はない」というが、日本軍が侵略した中国での日本軍性暴力加害の実態は強制的なレイプであり、拉致・連行・監禁しての強姦・輪姦だった、と被害の実態と被害女性の言葉を紹介。


「足が小さいので逃げられませんでした」「体の骨も折られ動くこともできず死ぬこともできなかった」「ロバの背に乗せられて連れて行かれた」。


被害女性の証言は歴史のリアルだ。


被害は恥だと半世紀以上胸の奥底に閉じ込めてきた「被害者の孤独」、立ち上がった勇気を忘れず、戦争も性暴力もない社会を作るために頑張りたい。


陸上自衛官記者会見を聞きながら、これは現在の性暴力被害者と同じだと感じた。






坪川宏子さん(オール連帯)


韓国の李玉善(イ・オクソン)さんを、『草』という漫画を掲げて紹介。


李玉善さんは、釜山の貧しい小作人の家に生まれ、12人兄妹の2番目で、弟・妹の世話に明け暮れていました。13歳の時に、学校に行かせてあげるといううどん屋に養女として出され(学校へいかせてあげるというのはウソでした)、翌年14歳の時に、料理屋に売られました。


すでに4人の女の子が乗っているトラックに乗せられ、駅から汽車で着いた所は中国の延吉(エンキツ)の日本軍の飛行場。


これは典型的な拉致、強制連行です!


ある日、疲れて休んでいると、いきなり軍人たちが押しかけて飛行場の慰安所で性奴隷とされました。


日本の敗戦によって18歳までの「慰安婦」生活は終わりましたが、そのまま中国に残り、あらゆる苦労をしましたが、58年ぶりに韓国に帰り、今は「ナヌムの家」にいます。


この事実だけ見ても、安倍政権による「強制連行はなかった」「性奴隷ではない」ということがウソであることがわかります。






飛び入り発言


「慰安婦」問題は過去の問題ではなく、性暴力問題を解決できていないことが、現在の自衛隊での性暴力被害に繋がっている。岸田首相は謝罪すべきだ。戦争に向かう軍拡の中で、このままでは自衛隊が海外で性暴力をふるうことが危惧される、と訴えました。







追記:安保法制反対の国会前19日行動では、毎回、『日本軍「慰安婦」問題の解決は女性の人権、平和の未来をひらく』の旗を掲げています。


韓国でも19日行動が行われていますが、この日の国会前集会に韓国から正義連のイ・ナヨンさんから連帯アピールが届き読み上げられました。感動でした。



安保法制反対の国会前19日行動



(報告・木瀬慶子)



〈当日のリーフ〉









■〈リーフの内容〉■


 岸田首相は安倍外交を継承・発展させると言っていますが、安倍外交とは、ひたすら米国におもねり、かつて被害を与えたアジア諸国には居丈高に振る舞うものでした。



 2006年、初めて政権の座についた時、安倍首相は直ちに「『慰安婦』強制連行の証拠はない」と、かねてよりの持論を披瀝しました。ところがこれには国際社会から猛烈な批判の声が上がりました。すると、アメリカに忠実な安倍首相は、ブッシュ大統領に対して謝罪の言葉を述べたのです。その「謝罪」というのも、「(女性たちに)心から同情する」というものでした。これに対して勘違いなブッシュ大統領が「私は安倍首相の謝罪の気持ちを受け入れる」と発言する茶番が繰り広げられました。



 第2次安倍政権で日本軍「慰安婦」問題に関する日韓政府間合意が発表された時にも、背後にアメリカの意思がありました。現首相である岸田さんが外相として日韓合意を発表した日の夜、当時の安倍首相は朴槿惠大統領に電話で謝罪の言葉を述べたそうです。しかし、被害者に対しては頑として謝罪の言葉を述べようとしませんでした。そしてついに、国会で謝罪の手紙を送る用意があるかと問われた時、そういうつもりは「毛頭ない」と言下に否定して、被害者と被害国の猛反発と激烈な怒りを買いました。



 このように、長期にわたる安倍政権が被害者と被害国に対して示した態度は、「強制ではなかった」「同情はするが、直接謝る気は毛頭ない」という、被害者の気持ちを逆なでにするものばかりでした。だから、日本軍「慰安婦」問題は未だに解決していないのです。原因は日本政府の側にあります。 にもかかわらず、安倍政治のレガシーを引き継ぐという自民党政権は、日本軍「慰安婦」問題をはじめとする歴史問題で、ボールは韓国に投げられた、解決の責任は韓国にあるとうそぶいています。



 果たしてそうでしょうか。



  身の回りに引きつけて考えてみましょう。被害者と加害者のいる問題では、常に問題解決の責任は加害者側にあります。これは、あまりにも当たり前で普遍的なことではないでしょうか。ところが今、日本社会ではこの当たり前なことがねじ曲げられて、転倒したロジックがまかり通ってしまっています。



 長期にわたる安倍政治の下で、私たちはたくさんのものを奪われました。その奪われたものの一つに、歴史認識があります。教育とメディアが掌握され、正しい歴史認識が学校や社会で伝えられる機会が奪われました。今こそ、奪われた歴史認識を取り返す第一歩を踏み出しましょう。そうでなければ、アジア諸国との健全な外交関係もありえないのではないでしょうか。