<全国行動声明>河野談話の空洞化と教科書への介入を許さない

 



今年は金学順さんの名乗り出から 30 年、本日は 1992 年 1 月 8 日から始まったソウル水曜デモ 1500 回の日である。この 30 年間、被害女性たちは日本軍「慰安婦」問題の解決を求めて訴え続けてきた。



今日の国際社会では、日本軍性奴隷制は女性に対する重大な人権侵害であり、被害者中心アプローチで解決すべきだという認識が定着している。


しかし日本では、本年 1 月から 6 月 16 日までの第 204 通常国会において、右派国会議員と政府による史実の隠蔽・歪曲・人権侵害発言が繰り返された。

私たちは強い憤りとともに、これに対して抗議の意思を表明する。



「従軍慰安婦」の用語を使うべきではないという「日本維新の会」議員による再三の質問と質問主意書の発出は、軍による強制連行を否定し、河野談話を空洞化する政府答弁を引き出すために行われたものである。


日本政府はこれまでも、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらない」などという事実に基づかない主張を繰り返し、「強制連行」「性奴隷」「20 万人の慰安婦」を否定してきたが、今回は「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」とする答弁書を閣議決定し、軍官憲による強制連行の歴史的事実を抹消するために、教科書から「従軍慰安婦」という用語を消し去ろうとしている。



これを受けて文部科学省は 5 月、教科書会社を対象に説明会を開き、すでに検定に合格した教科書に対して、記述の訂正申請の期日を示し、遅れた場合の教科書是正勧告の可能性までほのめかした。

これは憲法が保障する「表現の自由」を侵害し、教育への不当な支配を禁じた教育基本法第 16 条に違反するものである。

強く抗議するとともに、被害者たちが 30 年間訴えて続けてきた、「慰安婦」制度の被害と加害の歴史的事実を、教育の中で正しく伝えることを改めて要求する。



また 5 月31日の参議院決算委員会で、自民党の有村治子議員は、「朝日新聞」「吉田清治証言」を挙げて河野談話をめぐる環境に大きな変化があったとし、「慰安婦」とされた女性たちは公娼制度の下で商行為を行っていたと、日本軍の組織的・主体的関与や残虐性を否定する発言に終始した。さらに、「軍人の性欲を部隊としてどう制御するかは、およそ軍隊組織が避けては通れない重要課題」だと「慰安所」制度を必要悪とみなす反人権的発言を行った。



戦後半世紀近くの 1991 年 8 月 14 日、金学順さんが勇気ある告発を行ったことで、日本の植民地・侵略戦争の下で「慰安婦」とされ苦しんできたアジア各国の被害者たちが次々と声をあげた。それは日本軍兵士によって性を蹂躙された被害女性を蔑視する社会の中で、長く重い沈黙を強いられてきた被害者たちの痛苦の告発であった。

問われるべきは、「慰安所」制度そのものの暴力性、人権侵害である。性暴力は、どこの国であろうともいつの時代であろうとも、人権侵害であり犯罪である。



さらに、有村議員は、「(韓国は)日本を不当におとしめるために喧伝している」と、加害者がまるで被害者であるかのような政治的な発言をしているが、そこには河野談話にあるような痛切な反省のかけらもない。



有村議員の発言に応えて政府は、「韓国がゴールポストを動かしている」「国際社会から正当な評価を得られるよう発信する」と歴史否定のための戦略的対外発信を表明したが、それは紛争下における性暴力は反人権的犯罪であると認識されている国際社会では、日本がさらに孤立する道である。



菅政権は、河野談話を「全体として継承する」というが、今国会での態度は河野談話の全否定であり、絶対に許されない。数々の歴史歪曲の政府答弁や閣議決定は、いますぐ撤回すべきである。




2021 年 7 月 14 日 ―ソウル水曜デモ 1500 回の日にー

 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

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