ヨーロッパ初の公共敷地に建てられたベルリン「平和の少女像」


2020.9.29オーマイニュースより


[現場]「韓国の抵抗に共感」「一緒に闘う」… 海外'慰安婦'運動史に新たな転機


「ドイツ国民に慰安婦問題を伝えるためにここまで来た。 90歳を超える高齢者である私が、どんな思いでここまで来たことか。 心から謝罪するまで、世界中を飛び回って闘うつもりだ。」



2015年、金福童ハルモニはドイツ・ベルリンの日本大使館前でマイクを握って大声でこう叫んだ。 


「私は家でゆっくり眠ることもできますが、私のトラウマについて話すために遠くドイツまで来ました。私がされたことを他の少女たちが絶対経験しないようにするためです。 戦争のない世界を夢見ます。」

 

これは2008年、まずベルリンを訪れた吉元玉ハルモニの願いだ。 


ヨーロッパの公共敷地に建てられた初の少女像




▲9月28日午後、ベルリン平和の少女像の除幕式で市民たちと会ったベルリン平和の少女像。 これは欧州内の公共敷地に立てられた初の少女像という点でさらに意味深い。 ⓒ  クレアハム


 

他にもイ・オクソンハルモニ、ムン・ピルギハルモニ、チャン・ジョムドルハルモニ、イ・スサンハルモニ、アン・ジョムスンハルモニなどがこれまでドイツを訪問し、日本軍'慰安婦'問題を知らせながら、ドイツ市民社会に粘り強く連帯を要請してきた。


ドイツ市民社会はついに28日午後(現地時間)、ドイツの首都ベルリンに「平和の少女像」を設置し、平和と人権を叫んだ多くの被害者の声に応えた。 この日の除幕式を通じて市民たちと会った平和の少女像は、ヨーロッパ内の公共敷地に立てられた初の少女像であることはさらに意義深い。 


ベルリンでは、自国の歴史を記憶したり記念するのでなければ、造形物の設置はほとんど不可能だ。 この少女像の建立主体である在独市民団体、コリア協議会(Korea  Verband)は、「今年7月6日、ベルリン市の中心地域を担当するミテグ(Mitte)都市空間文化委員会の許可を受け、ドイツで初めて公共の場所に少女像を建立することになった」と話した。


▲ベルリン平和の少女像。コリア協議会事務所の近くにあるブレーメ・ストラッシェとビアケン・ストラッシェが出会う交差点で建てられた平和の少女像をベルリン市民たちが関心を持って見守っている。 Bremer  Straße    Birkenstraße  Bremer  10551  Berlin)  ⓒ  クレアハム


 

韓正和(ハン・ジョンファ)コリア協議会代表は記者とのインタビューで、ベルリン市の同意を得た背景について「日本軍'慰安婦'イシューは戦時性的暴力に対抗する女性人権・平和というテーマであるためにベルリン市の担当者たちもすぐに共感し、少女像自体の高い芸術性にも魅了されたようだ」と説明した。


また、同氏は、「これまで13の地域団体が加入したベルリン·モアビート地域コミュニティ、レユニオン(reUNION)と連帯活動を共にしながら、地域住民を説得した」と話した。 コリア協議会は青少年の脱線を防ぎ、住民の生活の質を改善する目的で設立されたレユニオンの一員として参加する中、少女像の向かい側にある学校の庭園に韓国の家庭菜園を作ったり、「ペテラミュージックフェスティバル」などの文化行事を通じて地域社会と緊密に疎通してきた。 韓代表は、「この2年間、住民と多くの交流で、少女像の建設のための支持を取り付けた」とし、少女像の建設推進経過を説明した。 


28日月曜日午後3時に開かれたベルリン平和の少女像の除幕式は、コリア協議会事務室近くのブレメ・ストラッシェとビアケン・ストラッシェが出会う交差点で開催された。 2時間以上屋外舞台で行われた開幕式には、ベルリン市民70人あまりと在ドイツ同胞らが出席し、大きな関心を示した。


▲歓迎のあいさつを伝えている在ドイツ市民団体コリア協議会の韓正和(ハン・ジョンファ)代表。韓正和代表は歓迎の挨拶を通じて「私が29年前に日本軍'慰安婦'ハルモニの証言に初めて接したときの想像もできない残忍さに一晩中泣いた。当時は、このイシューに対する私の共感と連帯の心がこれほど長く険しい旅程になるとは全く予想していなかった。 それでもこの過程で私が得た大切な連帯と愛の経験で十分に価値のある道だった」と述べた。 ⓒ  クレアハム


  

「ドイツの過去史省察の時に逃した2つのテーマを悟らせる」


昨年ドイツで初めて高等学校歴史教科書に'慰安婦'の歴史を紹介したダニエル・シューマッハ博士も、当日の除幕式に参加し、華を添えた。 シューマッハ博士はドイツの首都に「平和の少女像」が建設された意味について尋ねると「ドイツ市民がこれまで過去を省察する際に見落としてきた2つのテーマを悟らせる」と切り出した。 彼は「ドイツは帝国主義の犯罪と女性に加えた性暴力に対しては疎かな点があるが、その象徴である少女像の建設を通じて関連テーマに対する議論が始まることを希望する」と述べた。


また「(少女像が)ドイツの主流社会にアジアンコミュニティも存在するという文化的多様性を知らしめるとともに、これまで経験してきた歴史的葛藤に対する基本的理解を提供するという点で意味深い」とドイツ国内の少女像の必要性を説明した。 彼はバーデン・ヴュルテンベルク州の9年生の歴史教科書に日本帝国主義の歴史を紹介する記述をしたが、ここで挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会、現正義記憶連帯)が1995年に出版した生存者証言集をもとに、故キム・ドクチン「慰安婦」ハルモニの証言の一部を紹介した。


▲お祝いのメッセージを伝えて拍手を受けたヤジディ教の人権活動家ニジアン・グィナイさんが少女像の手をそっと握った。


最近、「イスラム国家」(IS)によって拉致され、野蛮な性暴力を受けてきたイラクおよびトルコ少数者であるヤジディ教徒人権活動家ニジアン・グィナイさんはこの日、舞台に上がった後、「今日はただ韓国だけでなく、自由と平和、民主主義を愛するすべての人にとても意味深い歴史的な日、共にすることができて光栄」とお祝いの言葉を伝えた。


彼女はまた「2014年以来、数千人ヤジディ教徒少女と女性たちもISによって組織的に拉致され、強姦され、性奴隷市場で売買するために見せ物にされたこともある。 いまだに数千人に達する女性たちの生死さえも確認されていない」とし「女性暴力と人種主義が悪性腫瘍が広がるように世界的な現象になりつつある現在の状況で、女性ネットワーク・連帯だけが解決策であり、被害者たちにはこうした国際的連帯が希望を意味する」と述べ、参加者たちから大きな反響と拍手喝采を浴びた。 


「化粧しない女性」(Ungeschminkt)テレビシリーズを制作し、リユニオン会員でもあるクリスティアーネ·ケプラー監督(70)はこの日「少女像が私たちの町に設立されてとても嬉しい」とし「性暴力に沈黙せず抵抗する女性人権問題に大きく共感する」と話した。 少女像の近くに位置するシーメンス社のある組合員も「今後(少女像のせいで)日本政府や右翼の圧迫が加えられるなら、喜んで一緒に闘う」と連帯の気持ちを伝えた。 


「韓国の抵抗に共感」「日本が圧迫すれば一緒に闘う」連帯・支持を伝えたドイツ。


2018年水曜集会に参加したこともあるベルリンの著名な総体芸術家ムンスクさんは「第2次世界大戦過去史の反省という面で模範を見せてきたドイツでさえ、こうした有意義な少女像開幕式行事が日本の圧迫を懸念して慎重に開催されなければならない現実が嘆かわしい」とし「今後、韓国政府がこの問題の根本的な解決のために関連する慰安婦団体を積極的に支援するよう要望する」と表明した。 


「平和の少女像」キム・ソギョン、キム・ウンソン作家も祝辞を通じて、ベルリン市に建てられた少女像に参加した人々に感謝の気持ちを伝えた。 少女像を寄贈した正義記憶連帯イ・ナヨン理事長も「厳しい時期にもかかわらず日本軍慰安婦問題の解決に力を集めた人々に感謝する」、「ベルリンの平和の少女像を通じて全世界に日本軍性奴隷制問題解決の意志が広がり、その精神が継承され、女性の権利と平和の場になることを心から期待して応援する」と、映像で祝辞を送ってきた。


その間、正義連と吉元玉ハルモニは07年、アムネスティと共にオランダ議会決議案および欧州議会決議案の採択を引き出した。 この欧州連合決議案は、全27カ国の加盟国の言語に翻訳されている。

▲祝辞を伝えているハキエンニ博士は「韓国の慰安婦運動の主体が、韓国軍のベトナム戦争犯罪を認めて、グエン・ミン・チタン民間人大虐殺の生存者たちや女性人権活動家たちとともに連帯するのは鼓舞的」と高く評価した

  

中国系ベトナム人のハキエンニ博士は「平和の少女像」の建設を祝うメッセージを伝え、韓国のベトナム戦争犯罪についても言及した。 ハ博士は「32万人の韓国軍はベトナム南部に駐留していた1963年~1975年に多くの戦争犯罪を犯し、この時期、韓国-ベトナム混血児、ライタイハンの出生は3万人と推定される。 彼らはほとんどが生父の経済的支援もなしに成長し、いまだに過去の敵軍の子どもだという理由で社会的烙印と差別を経験している」と指摘した。


彼は併せて、「韓国の慰安婦運動の主体が、韓国軍のベトナム戦争犯罪について認め、グエン・ミン・チタン民間人大虐殺の生存者たちや女性人権活動家らが共に連帯することは鼓舞的」と高く評価したりもした。 


国境・人種の限界超えて… 韓国・ベトナムなど性暴力被害記録を残すコリア協議会  


コリア協議会は2019年1月以来、事務室内に「無言多言」常設展示館を開館し、日本軍'慰安婦'問題の歴史的記録物、キム・ウンソン-キム・ソギョン作家の「平和の少女像」、被害者のハルモニたちの姿を込めた矢嶋宰作家の写真作品などを紹介してきている。


『無言多言』には第二次世界大戦とベトナム戦争当時の数多くの軍人の性暴力に関連した記録物以外にもヤジディ教徒の被害事例も同時に紹介されている。 この展示は、戦争性暴力の被害者らが無気力のために語ることのできない無言の状態を克服し、さらに個人と共同体レベルの多様な声を求める過程に焦点を合わせて企画されたものだ。  


一方、コリア協議会の韓代表を中心に、2009年コリア協議会の傘下に設立された日本軍慰安婦問題対策協議会(AG'Trostfrauen')は、日本軍性奴隷制をドイツ社会に知らせ、問題解決に向けて努力してきた。 これまで毎年、慰安婦被害生存者をドイツに招待してドイツ都市巡回証言会と記者会見、政治家らとの対面を取り持ち、大衆講演会などを進めてきたのだ。 彼女たちはまた、国際女性人権団体とも連帯して集会を主管してきており、現在は周辺の学校とも協力して教育事業に集中している。


協議会の会員は、日本軍慰安婦運動創成期から一緒に活動してきた<ベルリン女の会><在ドイツ女性会><韓民族欧州連帯>をはじめ、ドイツ、フィリピン、ベトナム、コンゴ、スーダン国籍の市民たちも参加している。 彼女たちは今後、「メディカ·モンディアレ」など世界的な戦時性暴力被害女性人権団体をはじめ、韓国-ドイツ市民団体、宗教団体、多数の国際女性人権団体が加入する予定の「ドイツ·ベルリン平和の少女像建立委員会連盟」を設立し、日本の右翼勢力の圧迫に対抗する準備を進めている。


この少女像の開幕式は1991年に日本軍'慰安婦'被害者故金学順ハルモニが被害の事実を初めて公開証言した勇気を称えて「日本軍慰安婦被害者メモリアル・デー」に指定された8月14日に開幕すると計画されたが、最近のコロナウイルス(Covid-19)や現地事情により、延期された。 


この日の除幕式では音楽研究家であり人権運動家でもあるソドロテア氏が司会を務め、ソルジャンゴ、サルプリ踊り、アリラン踊りなど伝統的な韓国音楽と歌舞とともにハンドファン演奏、打楽器トリオ合奏など多様な音楽プログラムが調和して参加者たちを楽しませた。 ベルリンに建てられた平和の少女像の住所は次の通り(Bremer  StraßeBirkenstraße  Bremer  10551  Berlin)。


ベルリン女の会はベルリン在住の日本人女性たちの会です。


(訳:Kitamura Megumi)

〈原文〉