NHK番組「クローズアップ現代+」 「韓国 過熱する“少女像”問題 初めて語った元慰安婦」(2017年1月24日放送)に対する 公開質問状

全国行動は1月31日、以下のような公開質問状をNHK日本放送協会宛に送付しました。
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NHK日本放送協会会長 上田良一 様
「NHKクローズアップ現代+」担当者 様

NHK番組「クローズアップ現代+」(2017年1月24日放送)
「韓国 過熱する“少女像”問題 初めて語った元慰安婦」に対する
公開質問状

1月24日に放送された「クローズアップ現代+ 韓国 過熱する“少女像”問題 初めて語った元慰安婦」は、視聴者に誤った情報を与えており、看過できない内容でした。
以下に主な問題点を列記し、各項目につき説明を求めます。

1.番組は、「当事者にも多様な声」があり「それを置き去りにしない」ことが求められていると締めくくっていますが、同番組こそが、「日韓合意」に反対して「支援金」を拒否している被害者の「声」を「置き去り」にしています。受け取った被害者が「多数」と強調していますが、「多数の声」だけを伝えることは「多様な声」を伝えることにはなりません。なぜ一方の声だけを取り上げたのか、説明を求めます。

2.番組は、韓国では「合意」を受け入れた被害者の声が伝えられていないと何度も繰り返していますが、日本では反対する被害者の声が伝えられていません。同番組も、「支援金」を受け取った被害者および家族3組を紹介する一方で、反対する被害者はただの1人も登場させませんでした。これは、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という「放送法第4条4項」の定めに背くものではないのか、説明を求めます。


3.番組は、このような偏った取材に基づいて、「まさに当事者の思いとは異なる形で少女像が設置されている」とまで断定しました。少女像を自らの分身だと言い、愛情を注ぐ被害者も多数存在するにもかかわらず、なぜこのような断定をしたのか、説明を求めます。

4.「支援金」が31名の被害者に支給されたことは韓国でも報道されていますが、これを受け取った被害者に対する非難の声は、運動団体や市民、メディアも含め、韓国社会のどこからも聞こえてきていません。その支給過程で韓国政府や「和解・癒やし財団」がとっている言動に対する批判が出ているだけです。にもかかわらず、番組では「アジア女性基金」の例をあげながら、お金を受け取った被害者が厳しい世論にさらされているかのような印象付けをおこなっています。何を根拠にこのような報道をしたのか、説明を求めます。

5.釜山の少女像問題については、朴槿恵大統領の退陣を求める韓国のデモを紹介し、「こうした政治的な空気の中で、釜山の日本総領事館前に少女像は設置された」と、あたかも韓国内の政治状況が少女像設置の要因であるかのように伝えています。しかし、釜山総領事館前の少女像設置を計画し推進した学生団体は、「合意」直後の2016年1月20日に設置計画を発表し募金活動を開始しています(2016年1月21日付『産経新聞』)。つまり、ソウルの日本大使館前の「平和の碑」(少女像)の「適切な解決」に言及し、10億円で「最終的・不可逆的解決」を買おうとするかのような日本政府の態度こそが、若者たちを突き動かした要因だったのです。釜山の総領事館前の少女像設置について、基本的な経緯等に関する取材すらしていないと思われますが、この点について説明を求めます。

釜山に少女像を設置した学生団体は、「合意」に反発した市民の一例です。番組は、なぜ韓国の市民がこれほど「合意」に反発しているのか、韓国市民の声を取材し明らかにするのではなく、「合意」で被害者が納得しているにも関わらず、これに反対する市民という構図の下、今日の事態の責任を韓国市民社会に問うものでした。これが、根本的な誤りです。今日の事態の責任は、被害者への謝罪の手紙を書く意思は「毛頭ない」と言い放つ安倍首相、10億円は「賠償ではない」と繰り返し、被害者個人が現在も持っている法的賠償請求権を無視して一貫して「法的に解決済み」と主張する日本政府にあります。これらの言動は、「合意」でうたった「反省とお詫び」が口先だけのものだと、韓国市民に繰り返し確認させる役割をしたのです。
番組の最後では「(被害者が亡くなれば)当事者不在の最悪のシナリオ」になると危惧し「当事者に寄り添う原点を忘れずに」と強調しています。しかし、そもそも被害者の頭越しに拙速な「合意」を行い、それを被害者に押しつけた当事者は誰なのでしょうか。そうした日韓両政府の対応の問題に切り込むことこそメディアの果たすべき役割ではないでしょうか。
今回の報道内容は、政府の意向を忖度することで、メディアとして事実を追究し、様々な角度から報道するという役割を忘れ、「慰安婦」問題を歪めており、強く抗議します。あわせて、NHKは公共放送として国家の統制から自立し、市民の目線に立った報道を行うよう強く求めます。

本状に対する回答を、2月10日までにお送りください。

2017年1月31日                             
日本軍「慰安婦」問題解決全国
共同代表 梁澄子 柴洋子